絶対に医者にさせたい先生VS絶対に結婚したいヒロインVS何も知らない男

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　タイトルと主人公の名前の強烈さにツッコミを入れつつ俺はテレビゲームを起動させた。するとゲームが始まり、オープニングとやらの音楽が始まる。

「何でここだけオーケストラ仕様なんだよ」

　盛大なオーケストラの聞いた事あるような有名楽曲を聴いた後、自分のキャラクターネームや落としたいキャラクターを選択する画面へと変わった。クオリティの差激しすぎんだろ。

「名前どうすんだよ」
「うむ！ここは天元で良いのではないか！」
「いやてんてんにしましょう」
「俺はTENGENが良いと思う」
「いやちょい待て」

　ゲームコントローラーを思わず投げて俺は盛大に野次馬三人の方へ振り向く。

「これお前の特訓の為のゲームだろ！？何で俺がやらなきゃいけねぇんだよ！！」
「宇髄！特訓とは何の話だろうか！」
「事をややこしくするから煉獄はちょっと黙ってろ」
「むう！」

　煉獄が口を尖らせて拗ねている中、真顔の志崎は黙ってゲームコントローラーを拾い上げて俺に渡した。その目はいつもと違う、少しばかり凛々しい瞳にも感じられた。

「先生」
「なんだよ」

　ゲームコントローラーを目の前にした俺に対して、余裕そうな表情を浮かべた志崎は少々口角を緩ませて口を開いた。

「お手並み拝見といきましょうか、先生」

　よっしゃアイツぶっ殺す。
　
『キャラクターネームを選択してね』
「てんてんにしましょうよ先生」
「いいから黙ってみてろ」

　俺は美術教師の宇髄天元だ。今まで数々の女を落とし、顔が良すぎる為に女にモテまくり、去年のバレンタインチョコ獲得数は余裕の一位を奪い取った。つまり何が言いたいかというと、要は簡単な話だ。

「男だろうが女だろうが俺に落ちない奴は居ない」
「見事に言い切ったな！」

　煉獄の言葉をフル無視して俺はコントローラーを握り直し名前を天元と入力していく。が、その時隣に居た伊黒が初めて自分から意見を言い出した。

「これは男を落とすゲームだろう？だったら主人公は女の名前のが良いのではないのか？」
「……」
「……」

　志崎と煉獄からの無言の圧を受けた俺は、黙って天元の入力を消したのだった。
　
「よっしゃド派手にいくぜ！」
「うむ！行ってこい天子！」
「天子(あまこ)じゃなくて天子(てんこ)！」
「おい誰だ今悪口言ったやつ」

　キャラクターネームも決め、落とす相手をガチ甘党、基(もとい)我地甘斗に設定しゲームスタートボタンを連打した。連打した意味はない。

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