特別 ページ5
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「伊黒さんが、"好きな事をしている甘露寺を俺は応援したい"って言ってくれて…!」
「まあ、素敵ですね」
「そうなの、ふふ」
数学の問題を解きながら恋バナをする器用な2人。私は綺麗に不器用なので黙ってそのやり取りを聞きながら問題を解くだけ。
伊黒君は甘露寺さんと付き合ってるのかな。付き合ってるような口調だし、告白したのかな。
───────告白、か。
「Aちゃんは不死川さんと同じ大学に行くの?」
「え…あー、」
不意に私に会話を振られて動揺したが、すぐ相槌をうつ。しかし質問の内容が内容だった為内心ドキッとしてしまった。
「……一応、2人とも受かったら」
小さめの声でそう言った。何故か控えめな感じで。
「ずっと一緒に居るイメージだから、きっと行けるわ!」
「……ありがとう」
"ずっと一緒"…、か。私もそう思ってたよ、前までは。
「甘露寺さんは、伊黒君の事…好きだなって感じたのは、いつから?」
なんて事ない感じで無意識にそう聞いてしまった。すると胡蝶さんが「私も気になります」と追い討ちの言葉をかける。
「え!?えっと、…好きだって気付いたのは案外最近よ?それまでは一緒に居て凄く楽しい人だなって思ってたから…」
「それで?」
私が質問したにも関わらず胡蝶さんが食い気味に聞いている。
「初めは伊黒さんの隣に居れたら何でも良かったの。でも段々と欲が出ちゃってね、」
頬を染めながら彼女は恥ずかしそうに答えていた。
私は黙ったまま甘露寺さんを見つめる。
「ある日、気付いちゃったの」
「何をですか?」
ふふ、と笑いながら彼女は口を開いた。
「──
"特別"
私は思わず目を見開いた。私に構わず話を続けている甘露寺さんと胡蝶さん。2人の会話なんて頭に全く入らないくらい、先程の"特別"という言葉が脳裏で何度もリピートしていた。
────保護者じゃなくて、男として俺を見ろよ
あの日、彼が言ったあの言葉。
見てた。見てたよ。そんなのとっくの昔から、ずっと見てた。
でも恥ずかしいじゃんか。恋愛なんてロクに今までした事なかったし。保護者の立ち位置で満足してたんだ。
だけど、分かった。そうだ。その言葉だ。私は既に前から、
───彼の"特別"になる事を望んでいたんだ。
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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