液体 ページ42
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頭上にぶっかかる赤い液体。そのまま口の中に侵入するイチゴ味の液体。タイミング良くガララと開く扉。
「此処に居たのかよA、探したぞォ」
目の前に映り込むのは、私のよく知ってる人物。
「な、何で此処に……」
「はァ?お前が朝イチで化学基礎教えてくれって言って来たんだろ。て言うかお前、それ血じゃねェよな?大丈夫かァ?」
そう言えばそんな事を言っていた気がする。朝イチの私を盛大に恨む。化学基礎なんてもう死んでもしない。ごめんそれは嘘。
「あら、本当に不死川さんが来てしまいましたね」
「すまない神崎。手が滑った」
すまないの一言で済ますな冨岡。もうこの恨み墓場まで持って行くからな。全集中の呼吸使ってやるからな。
「オイA、聞いてんのかァ?」
そう言ってさねみんは私の腕を掴もうとした。
──────掴もうとした?
「!!!!」
思わず掴まれた腕を弾いた。あ、やらかした。そんな事を思う前にさねみんは驚いた様な表情をしながら私を見つめる。
「あ、いやごめ」
「……おう」
やばい。やばいやばい非常にやばい。心拍数上昇。脈打ちの加速。体温上昇。血圧上昇。何これアゲアゲじゃん。
「さ、さねみん…」
「何だよ」
「……先、教室戻ってて…下さい」
「はァ?」
不審な表情で私を見つめるさねみん。その綺麗なお顔がどんどん私の方へ近付いてくる。いや待ってタンマ。え、タンマって死語?ぴえんじゃん。
「不死川さんすみません、神崎さんは私達に用があるので少しの間席を外して頂けると有難いのですが」
流石の胡蝶さんも私の危機を察知したのか救いの手を差し出すかの如く私とさねみんの間にすかさず入った。
「…あァ、わかった」
さねみんも渋々了承をして化学実験室から去って行った。
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「大丈夫か神崎。薬をモロかけてしまってすまない」
「"すまない"の一言で許されると思った君のその神経の図太さを尊敬するよ」
「尊敬……それは嬉しいな」
「キャンユースピークジャパニーズ?」
ムフフしてんじゃないよ馬鹿野郎。
「と言うか薬の効果はあったんですか?」
胡蝶さんが私の顔を覗き込みながらそう尋ねる。
「そりゃあるでしょ。ドッキドキ止まらんよどうしてくれるの」
「そうですか。でもそれは前から同じでは?」
「……は?」
何か間違った事言いましたか?みたいな顔して胡蝶さんは微笑む。
「いやいや惚れ薬飲んだんだよ私、イチゴ味の」
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)
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