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応援 ページ37

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「いや、まぁ…応援、するよ」

 動揺した声色で、彼女はそう言った。そりゃそう答えるわな、と思いながら俺は「ふーん、そうかァ」と自分で聞いときながら興味なさげな返答をしてしまった。

 ─────なら、自分は?

 その言葉を言えずに俺は今立ち止まっている。本当は言いたい、この曖昧な関係を断ち切りたいから。同じ大学を目指したかった理由だって、これと同じだ。
 彼女と一緒に居たいのは、心配だから?世話をしたいから?いいやそんな訳ない。世話なんて弟妹達で充分だ。何故俺が彼女を気にかけるかなんて、もうとうの昔に分かってた。
 ただこの関係を崩したくなくて逃げてただけだ。だからこれからも逃げさせてくれ。保護者として彼女の隣で笑えるように、俺の居場所を作らせてくれ。
 どこまでも悪い男ですまない、A。でも俺にはこの関係を断ち切って告白する勇気はまだ持ち合わせていたいのだ。


「何で急にそんな事聞くの?」
「いや…何となく」
「そっか」


 だからまだ甘えさせてくれ。この関係に満足させてくれ。



「そこ間違ってるぞォ」
「脳内では合ってるつもりなんだけど」
「ノートでも合うようにしてくれ」



 でも、もし。もし、この関係を断ち切る勇気が俺に出来たなら。



「ああー数学なんて将来使わないのに」
「次その言葉を発したら窓から投げ飛ばすぞォ」
「もう二度と言わないと心に誓った」



 その時は、宇髄みたいにかっこよく告白なんざ出来ねェと思うけど。


「ん、正解だァ」
「やったああ。お母ちゃん休憩したいよ」
「誰がお母ちゃんだァ、…ったく、10分な」
「やったああ。あ、おはぎあるよ持ってくるね」
「…サンキュ」




 でも…いつか告白してやるから待っとけよ。

 ───なんて、心の中でそう呟いていたのだった。

.




「おはぎ潰れてた」
「どこをどうしたら潰れるんだよおはぎに謝れ」
「ごめんあそばせ」
「よし歯食いしばれェ」



 ────前言撤回、やっぱ告白すんのやめよう。





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誕生→←勘違



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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年2月15日 17時

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