睡眠 ページ3
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「遅ェ」
そう、彼がやって来た。
「…へいたくしー」
「タクシーじゃねェよ!」
そう言いつつも彼は私を片手でヒョイッと持ち上げダダダとうるさい効果音を立てながら3階まで上がって行く。
「ったく1人で歩けねェのかよ」
「さねみんが居る限りは不可能だね」
「さねみん言うな」
流石に廊下は自分で歩けと言われて渋々彼の隣でのっそのっそと歩く。彼の名は不死川実弥。通称さねみん。銀髪で顔も身体も傷だらけ、常に瞳孔が開いてて目付きはすこぶる悪い。身長も高い。しかしそんな彼には意外な一面もある。
教室に着き自分の席に座る。ちなみに私はさねみんの後ろの席である。
「さて」
ふぅと一息ついて鞄から小さめの枕を取り出す。それを机の上に置いて。
「おやすみ〜」
「待てコラァ」
おでこから枕にダイブしようとした瞬間前に座っている彼に抑えられる。睡眠妨害されるけど、その手はいつも優しい。彼の意外な一面の1つだ。
「今学校に来たばっかだろうかァ!」
「…さねみん」
私はひとつ溜息をついて欠伸をし、思いっきり伸びをかまして口を開いた。
「………眠い」
「長ェよ!」
これは最強に眠たがりな私と最強に私の世話をしてくれる彼の、ゆるーいまったりした物語である。
.
「…あー」
「あ?どしたァ」
休み時間になるチャイムで目が覚めて喉が乾いたから鞄から妹の淹れてくれたお茶が入った水筒を取り出す。
「開かない」
「はァ?貸せ」
「あい」
手に持った水筒をさねみんに渡す。貰った彼は片手でいとも簡単に蓋を開けてくれて私に返してくれた。
「こんなんも開けれねェのかよ」
「非力なものでして」
ハァと溜息をつきながら重い水筒を持ち上げ茶を飲む。そしてクルクルと回して蓋を閉めてハァと溜息をついて鞄にしまう。その一部始終を見ていた彼は「ただ茶飲んでるだけなのに重労働な
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キンコンカンコンと授業終了の合図と共に周りの生徒は昼食を取りに席を立ち始める。ぐっすり寝ていた自分もその姿を見てあぁもう昼時かと思いながらまた一眠りをしようとする。
──────が、
「オイ、飯だぞさっさと起きろォ」
頭を何度もペシペシ叩かれて私は嫌々ながらも伏せていた顔を上げた。
「要らない」
「要らねェとかねェよ」
そんな事より寝ていたい、と言ってもさねみんには聞き入れてくれなったのだった。
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)
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