映画 ページ15
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「さねみん、今度の日曜映画行かないかい」
「…映画ァ?」
休み時間、突如後ろの席の彼女から話しかけられた内容は映画のお誘い。
「珍しいなァ、Aの方から外に出る誘いなんざ」
「うん、凄く行きたくて仕方ない」
あの引きこもり眠たがり面倒臭がりのAがそうまでして行きたい映画なんて。一体どんな作品だァ?と思いながら彼女のスマホ画面を覗いた。
〈2週間限定!!〉プレミアムシート半額!!
「…お前、何見るかとか決めてんのか?」
「いや全然」
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そして日曜日。映画館前で俺はAが来るのを待っていた。そういや私服姿見るのなんだかんだで初めてではないのか?と思いながらチラッと腕時計で時間を見る。早く着きすぎたな。いや、別に初めて学校以外で会うから浮かれて早く来た訳じゃねェし暇だったから早めに家に出ただけだ。
「って俺は誰に言い訳してんだァ…」
我ながら情けない。
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「あれ、もしかして早く来てた感じ」
「いやさっき来たところだ」
午前11時。待ち合わせ時間ピッタリに到着したAにしれっと嘘を吐いて映画館の中へ入る。Aの初私服姿は至ってシンプルだった。白いブラウスに小花柄のスカートがなんとも春らしい格好だ。Aは黒スキニーに白いシャツ、ベージュのベストを着た俺の格好を見ては「おしゃんだねー」と言っていた。
「見たいモン決まったのかよ」
「BOXプレミアムかセカンドプレミアムで迷ってる」
「いやプレミアムシートの話じゃねェ」
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作品に全く興味がなく早く座席に座ってくつろぎながら寝たいと言うクソみたいな意見を優先すべく今話題の泣ける恋愛映画を選択した。
寝たい、という映画館なのに意味の分からない彼女の要望を叶えるべく2人なのにBOXプレミアムにした俺達。
「楽しみ過ぎる」
「映画も見ろよォ」
チケットを購入し、ちゃっかり俺はキャラメルポップコーンとミルクティーを買った。Aはお茶だけ買っていたが俺のキャラメルポップコーンを何個か食ってた。
「3番スクリーンだなァ」
「やっとですな」
そう言って俺達はBOXプレミアムシートの席に到着。普段とは違った表情で、目をキラキラさせていたAはすぐに靴を脱いでシートの中へ入った。俺も靴を脱ぎAの隣に座る。飲食を置くスペースもあり、ちゃっかりクッションまで付いている。
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)
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