夕飯 ページ14
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「……それだよさねみん!」
「それだな」
ハッと気が付いた様な表情で俺を指差し、お互い買い物が同じだったカレールーのコーナーへ足を進めた。
「いやーさねみんの弟ナイスアシストだね」
「お前の記憶細胞が活発に働いてくれたらこんな苦労はしなかったけどなァ」
「今有給中で」
「年中無休で休んでるだろ」
無事カレールーを買えたAはエコバックにカステラとかりんとう(謎に買っていた)とカレールーを入れてスーパーを出た。まァコイツに持たせたらかりんとうがバキバキになりそうだったから俺が一応持っておいたけど。
「さねみん家も今晩カレーかぁ」
「そうだなァ」
そんな中身のない話をしながら歩いているとAの家のマンションが見えてくる。俺の家はもう少し奥にある。だからこうやって放課後は自然に毎日一緒に帰っている。
朝は殆ど目が空いておらず妹に引きずられながら学校に行っている彼女の姿をよく見かける為、あえて何も話しかけず学校で会う事にしている。まァ3階まで俺が運んでるけど。
「じゃ、今日はありがと」
「構わねェよ、じゃあな」
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翌日、眠気を覚ましながら俺は学校に向かっていた。すると目の前にはフラフラで今にも寝そうな歩き方の同じ制服の女が1人。
「…何してんだァ、A」
「……あぁ、さねみん。おはよ」
"珍しく1人で登校かァ?"と聞くと落ち込んだ顔で彼女はゆっくり口を開いた。
「昨日の夕飯…カレーだった」
「あァ、知ってる」
「買う物…ルーじゃなくてカレーの食材だった」
「はァ!?」
「…しかも食材買って来るって自分から言ってたっぽい。それで既に家にあるルーだけ買って来たからアオイに散々怒られて今朝は先に行かれちゃったって訳です」
「………もう、ペットら辺の立ち位置として家に転がり込むしか方法はねェなァ」
「それな」
ズーンと落ち込みながら彼女は昨日買ったかりんとうを俺に分けてくれた。カリッとそれを口に放り込みながら俺達2人は一緒に登校したのだった。階段でまたアイツを3階まで運んだのは言うまでもない。
「自分で登れやァ!」
「ペットとして扱って」
「こんな無気力なペットクソ要らねェ!」
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)
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