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御使 ページ12

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 学校も終わり下校時刻。リュックに教科書類を詰めて後は帰るだけの時に後ろに居る彼女が急に話しかけてきた。

「さねみんさねみん」
「あァ?」
「おつかい手伝って」

 振り向くとスマホを片手に眠そうな目を向けた彼女が溜息を付いていた。

「…おつかい?」
「うん。アオイに頼まれてたの忘れてた」

 スマホを覗くと予定表の通知が出ていて、画面には『本日の予定:おつかい』と表示されていた。

「暇なら買いに行くの手伝って」
「それくらい構わねェがお前ェがおつかいなんて珍しいな。どうせ1人で荷物持てねェんだろ」
「いや、荷物持てないのは大前提として…」

 スマホ画面を閉じて俺の方へ顔を向け気まずそうな表情をした彼女。

「私がスーパーで一体何を買おうとしてたのかを一緒に思い出すの手伝って」
「そこからかよ」

 ─────ハードル高過ぎだろ。

.

「昨日の夜アオイに何か買ってきてって頼まれたんだよね」
「もう妹に聞きに行けばいいだろ」
「アオイ携帯持ってなくて」

 中学生と高校生の下校時刻は異なっており、中3のAの妹は既に下校している時間。本人に聞きに行く事は不可能だし携帯を持っていないとなると妹に確認する事は尚更難しい。

「妹は家に居ないのかァ?」
「今日は確か友達とタピりに行くって言ってた」
「女子だなァ」
「ちょっと古いけどね」

 家にいたら家電で何とか聞き出せると思ったが、そう簡単に上手くいかなかった。つまり俺達2人で妹に頼まれた物を買いに行かなきゃならないって訳だ。

(ウチ)両親共働きで留守が多いから家事とかアオイが全部してくれるんだよね。で、たまには買い物私がするから放課後友達と遊んでくればって言ったのよ」
「お前もちゃんと姉貴らしい事したんだな」

 彼女の成長に嬉しさを感じつつ俺はAの頭を撫でた。コイツもしっかり姉貴だったんだなァ、なんて思いながら。

「……うん、」
「あ?」

 珍しく俺が褒めてやったのに彼女は酷く落ち込んだまま。"どうしたァ?"と聞くとAは顔を俯かせながら俺と目を逸らした。

「……だからあんなに大口叩いた癖に何買うのか忘れて家に戻るなんてもう姉としての存在意義が皆無になりそろそろ捨てられると思う」
「全力で買うモン思い出せ」


 前言撤回、全く姉貴じゃなかった。


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 なんやかんやで近くのスーパーに到着。カゴを俺が持って中に入る。

「どうせ夕飯の食材か何かだろ」
「多分そうだと思われる」

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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年2月15日 17時

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