✿大奥に咲く七輪の華✿ (ページ37)

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俺はあの日、蘭と共に川へ落ちた。

目が覚めた時、俺は京の御所にいた。

大奥を焼き払うと聞いていた京の家臣が
江戸に向かっている時、

流された岸で横たわっていた俺を助け、

京の御所で匿ってくれていた。

そこに蘭は、いなかった。

生きているのか、
そのまま流されてしまったのか俺には知る術がない。

3ヶ月ほど俺は京の御所で治療を受け江戸に戻ってきた。

いや、今は【東京】と呼ぶ。

大奥廃止により上様である玉森裕太はいなくなった。

代わりに町民として生きていくことになった。

東京に行く前に京の者から
ガヤとミツが天皇家の側近になったと聞いた。

良かった‥‥‥。

心の底から安堵した。

ガヤとミツはまた一緒に働ける。

‥‥‥俺は、‥‥‥俺は、、

「余生は穏やかにお過ごしください。
今まで大変なお勤め、ご苦労さまでした。」

籠で送ってくれた京の方々に頭を下げる。

新たな町民としての、人生。

俺は迷わず会いたい人のところへ向かった。

江戸城周辺で聞き込みをすれば、

近くで珍しい花を沢山取扱っている花屋がある。
と聞いた。

優しいそうな男の人が切り盛りしていて、

入口には紫色と黄色の花が活けてある。と。

それを聞いた瞬間、確証を得た。

大奥で上様になってなかったら宮田とも会えなかった。

失った物も沢山あったが、、、

宮田と出会えたことは……俺にとって最高のご褒美だ。