✿大奥に咲く七輪の華✿ (ページ34)

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焼け落ちた大奥は整備され、
そこのど真ん中に墓石が置いてある。
大奥で命を落とした者たちを弔うためだ。

隣に置いてある石碑は大奥のことが刻んである。

姿形はなくなったが大奥の歴史は残した。

この建設にかかったお金は全て天皇家が負担してくれた。

有難い事だ。

そっと手を合わせていると

ニカと千賀が揃ってやってきた。

「横尾さん！早かったね！！」

『宮田の花屋でお供え用の花買ってきた。』

「奥さんの体調はどう？もうすぐ産まれる？」

千賀が手拭いで石碑の汚れを落とす。

そう、俺は大奥を出た後、

ずっと文通を続けていた宮田のお姉さんと夫婦になった。

そしてこの夏、子が産まれる予定だ。

「まさか横尾さんと宮田が親族になるとは…！」

ニカに言われ微笑む。

そんな俺の表情を見て千賀も微笑む。

「で？残りの3人は？」

『宮田は店が落ち着いたら来るって。
俺が行った時は
忙しそうだったからもう少しかかるかもな。
太輔とミツは一緒に来ると想うけど‥‥あ！来た！！』

向こうから花を抱えやってきたのは、太輔。