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✿98 ページ4

あの時、裕太に唇を重ねようとした時も…

蘭と似ていたから。

裕太が宮田と仲良くなるのを受け入れたくなかったのも…裕太を取られたくなかったから。

自分から離れておいて裕太を蘭と重ねてた。


床の中で愛しあった蘭との想い出は……

もう消していた。





『‥‥また墨が増えてる』

着物の襟から覗く黒い墨を見てタメ息を漏らす。

蘭は昔から辻斬りをしていた。

俺はそれをわかっていたのに
蘭から離れることが出来なかった。

蘭は人を斬った数だけ墨を入れていた。

その墨が増えたとゆうことは、

俺の知らないところで蘭はまた手を染めたとゆう意味。


それでも俺は蘭を愛していた。

だけど、人斬りだけでは物足りなくなった蘭は
俺にも手を上げるようになった。

俺が稼いだ泡銭はいつも蘭が酒と女に使って消えていた。


その日も痣だらけな身体を抱え、俺は大奥の門を叩いた。


蘭がよく話していた、母親が住まう大奥。

蘭は望まれて生まれた子ではない。

蘭が大奥に入ることは絶対にない。

だから、あえて蘭から逃げるために俺は大奥に入った。




それから月日が流れ、
大奥総取締に就いてしばらくした後に、
蘭と裕太の母……先代の上様が亡くなった。

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作者名:いっぽちゃん | 作成日時:2023年4月13日 20時

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