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✿96 ページ2
「…ひっ…！許してくれ！！俺にはまだ家族が…っ…」
命乞いをする男を俺は何てことない表情で突き刺す。
‥あーあ‥‥退屈だな。
久しぶりに会った宏光‥‥。
大奥に入って以前より大人びた顔つきになっていた。
笑い合ってた頃が懐かしい。
もう、遠い昔だ。
以前は俺に向けていてくれていた顔を…
同じ立ち位置の藤ヶ谷太輔に向けていた。
何かが沸騰するような、気持ちの昂り。
目の前で果てた命を見つめる。
春夜の月は大きく綺麗だ。
裕太も…昔から綺麗な顔をしていた。
今は男らしくなっているのかな。
裕太も宏光もどちらもかけがえのない駒。
···どちらも俺の手で消したい。
額についた刀傷に触れる。
『‥‥もうすぐ会えるね、裕太。』
大奥から届いた文を握りしめ月を眺める。
✿大奥に咲く七輪の華✿最終章ー
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作者名：いっぽちゃん
| 作成日時：2023年4月13日 20時
