変 ページ17
Aside
名前をお互いに教え合ったところで、またもや、店主の方が両手に身体の大きさには到底合っていない鮭定食を抱えながら、此方のテーブルにやってきた。
「お待たせいたしました。鮭定食で御座います。」
そう言い、私達の前にお盆ごと置いた。ごゆっくり〜と、女将さんが必ずと言っていいほど言う言葉を残し、お得意のジャンプでゾムさんの机へと移って行った。
コネシマさんはいただきます、と呟き、鮭定食を食べ進めていた。私も後を追うように、いただきます、とだけ呟き食べ始めた。
そうなると、当然のことであるが、ゾムさんと店主さんの声しか、耳に入らない訳で。ゾムさんは何を頼むのだろうか。少し、期待した次の瞬間、耳を疑う言葉が聞こえた。
zm「此処から、此処までの料理全部下さい。」
メニュー表を指しながら、言っていた。こんな言葉、何かの冗談にしか聞こえない。驚いている私を横目に、コネシマさんは鮭定食を食べ進め、店主さんは、またか、と言うような顔をして、厨房へと戻って行った。此れが、きっと彼にとっての普通なのだろう。此れが普通だ、と自分に言い聞かせ、手を進めた。
完食し、そろそろ店を出ようとしていた最中に、ゾムさんが頼んだメニューの品がテーブルに所狭しと並んだ。一つのテーブルには収まりきらず、カウンター席にも並んでいた。こんな数の料理一人で食べ切れるのだろうか。
そんな疑問を胸に抱えながら、店を出ようとした。そう、出ようとしたのだ。
腕を掴まれた。
掴んだ主はゾムさんだった。何のために？この一言だけが頭をぐるぐると回った。しかし、次の一言でもっと頭を抱えることとなる。
zm「これ、半分やる。俺の奢りや。たんと食べぇ」
もう、お腹いっぱいだ。こんな量の料理が胃の中に入って仕舞えば、嘔吐は免れ無いだろう。
『あの、もう、お腹いっぱい、です。』
だから、こう答えた。其れなのに、逆効果だったのだろうか。返ってきた答えは正に、絶望を植え付けるものであった。
zm「大丈夫やって。
この程度で、人間は死なへんから。」
食べなければいけない。
その事実にも確かに絶望した。しかし、人間とバレていた、と言う事実だけが重く絶望となって、のしかかる。
いつバレた？変な言動は無かったはずだ。いや、絶対に無かった。出来るだけバレぬよう、口数を最低限減らした。
そんな、感情はコネシマさんも同じだったのか、青ざめていた。
ただ、彼だけが。そう、彼だけが、頬を紅潮させていた。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
