彼が消えて早5年。今私は...6【降谷零・安室透】

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ハッと眠りから覚めれば、視界に入った様子に違和感を覚えた。





寄り添って寝ていたはずの3つ子。







その真ん中にいた澪が見当たらないのだ。






澪がいたはずの場所へ手を触れれば、そこは冷めきっていた為、トイレに行ったにしても遅すぎる。







...いや、澪の事だから迷子になっている可能性があるな。







澪は筋金入りの方向音痴であり、基本的に1人での行動は禁止されている程だ。









扉に目を向ければ、零が閉めて行ったはずのドアが薄く開いているのが見えた。









迷子、かなぁ。







その可能性が1番高いと考えて、私は病室を出て澪を探す事にした。






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探し始めて10分も経たないうちに、澪を無事に見つけることに成功した。








点滴を引きずっている女性と一緒に前方から歩いてくる澪は、私の姿を見つけるなり走り出した。








「...！！」









手を繋いだ澪に引き摺られるようにして私の前までやってきた女性は、困ったように私と澪を見比べる。








女性と繋いでいた手を離して私に抱きついてきた澪は、女性に向かってパクパクと口を動かして何かを伝えようとしている。









「ありがとう...かしら？」






そう言って首をかしげた女性に、澪は満足そうにこくこくと頷く。









「ありがとうございました。...澪...この子澪って言うんですけど、迷子になってましたよね？？」








「ええ、すすり泣く声が聞こえて廊下へ出てみたら澪ちゃんがいて、声が出ないと伝えてくれたから、放っておけなくて一緒に病室をさがしていました。見つかって良かったです。」






「やっぱり、そうでしたか...本当にありがとうございました。」








「いいえ、それじゃあ私は病室に戻るので失礼します。」









女性はそう言ってくるりとこちらに背を向けて来た道を戻り始めた。









その背中が見えなくなるまで見送り、私も澪を抱えて病室へと足を向けた。

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