【呪術廻戦】ギャルと呪術-2-

079：ギャルと加虐心 ページ29

｢危機感の欠如｣

呪霊は見たままの通り頭に火山を持っているようだ。
とぷ、と頭の上で岩のようなものが跳ね戻っていく。

一体、頭の中どうなってんだ。

横のAは、充分興味津々だが。

｢こんな場所で襲ってきて…。他の術師の加勢を避けた…にしては、私が居る時点で成立しなくない？｣

｢どうかな。先輩が無闇に呪力解放出来ないのを知ってたら…どう？｣

ニヤリと笑ってみせると、Aは片頬をぷくりと膨らませ｢舐められんの嫌い｣と呟いた。

なんだその顔は。

｢先輩、今の顔超可愛いね。頭から食べていい？｣

食べたい程の可愛さとはまさにこれか。

｢食い返すけど｣

｢やだ、男前……悟、キュンです｣

会話する二人を前に、呪霊は一つ目を顰める。
｢ごちゃごちゃと…｣と不機嫌そうに呟くと同時に、こちらへ何かを放ってきた。


｢火礫蟲ッ！｣


向かってきたソレをいち早く視界に捉えたAは、突然悲鳴を漏らした。
そして、僕の腕をすかさず掴む。

｢え、何、先輩。突然のアプローチ？喜んで受け止めて大切に保存するけど。永久に｣

だが、当の本人は全く聞いていない。
どころか、ぷるぷると震え青ざめている。

｢む、虫ッ！？きっっっしょ！！｣

バタバタと羽を動かし、甲殻類を思わせる体、そして顔の先には太く尖った針がついている。
僕らの前で、ビタッと止まる数体の虫にAは一層顔を青くした。

あー、そっか

｢無理無理無理！！うわ、近ッ！きっしょ！！本当に無理！！｣

先輩、虫が大の苦手だったね

呪霊研究をしていて界隈では『博士』なんて呼称が着いてるクセに、Aは生物含め虫型の呪霊だけは生理的に受け付けないらしく、他研究員に流していた。

しっかし、怖くて僕しか頼れない先輩可愛いな
これが加虐心ってやつか…
今僕は本能で学んだよ

｢これ当たるとどうなんの？｣

｢アンタ神経狂ってんの！？遊んでないで何とかしてッ！！｣

Aは泣きそうになっている。というか、半分泣いている。

あーー！
これは、クるな。下腹部に。
好きな女の子の怯えた顔って、実は最高だったりする？
あれ？僕今最低な男ですか？

腕を離すまいと握るAに、崩壊しかけの理性をなんとか立たせ｢はいはい｣と言いかけたその時。

虫同士が激しく鳴き、共鳴しあった。

音の連鎖により、虫の体は破裂する。
火力も充分。

これは洒落にならないな、と先程のようにAを腕に回避する。
怒られたばかりだけど、これは許してくれるでしょ。

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