077: 氷上の皇帝 ページ30
「A、こっち見てよ♧」
空いた手でAの顎を掬い対面させる。
強制的に合わさる瞳。
何が起こるのか分かっていないが、この先自分がどうなってしまうのを能的に理解している。
だからか、瞳を丸くさせ驚いているというのに顔は素直なのか赤い。
可愛い、可愛い。
味見だけなら誰も怒らないよね。
少し食べるだけ。
Aには絶対に嫌われたくないけど、でも味見なら大丈夫だよね。
しょうがないじゃないか。
君がボクをその気にさせたんだから。
かぱと口を開く。
Aの首筋、数センチ。
「だ、だめ…」
ヒソカは聞く耳持たず。
聞こえているが、その言葉さえも今は彼の加虐心を煽る道具にしかならない。
Aがまた顔を背けようとする。
「こらこら、背けないの…♤」
あぁ、もうこの子は…
焦らすのが上手いなぁなんて思いながら、ヒソカは再び顎を掬ってやろうとした。
したのだが____
「…あ、あれ…???」
手が動かない。
片手だけじゃない。Aの腕を掴んでいた手もだ。
しかも何故だろう。とても“冷たい”。
冷たい…??
いやこれは気のせいなんかではない、確実に冷たい。
「だから___駄目って言ったでしょう。」
Aの淡々とした声が響いた。
ヒソカは自身の腕に目を向ける。
なんということだろう。
どういうことだろう。
両手が”氷漬け”になっている。
比喩なんかではない、文字通りにしっかりと両の手が氷で固まっているのだ。
「A!!?え!?何これ!?どういうことだい!!?」
目の前にいたはずのAは、いつの間にか腕をくぐり抜け脱出している。
ヒソカが力づくで引き剥がそうとするも、冷たさに手の感覚を持っていかれてしまっている。
上手く動かない。
キラキラと氷が輝く様は、まさにA。
美しくどこまでも透明で、何にも染まらない。
しかし、冷淡でこの世を欲しいがままに手の内にしてしまう。
氷のように固めてしまって。
ヒソカの焦った顔に、Aは「ふふ、」とお淑やか宜しく笑みを浮かべてみせる。
「実験台になってもらっちゃった。私の能力、開発仕立てほやほやのやつ。」
まさか…
ヒソカの中で氷の正体が見えてくる。
Aは両の掌を見せ、相変わらずの美貌を持つその顔で艶やかな笑顔を浮かべた。
「私の能力、触れた物を凍らす。」
名前は____
「『
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鼻毛太郎(プロフ) - rinochan810さん» ありがとうございます;;とっっても嬉しいお言葉…!読みながらドキドキして下されば、夢書きとして本望です…!これから2人の関係が徐々に変化していくので、楽しみにしていてくださると有難いです! (2020年9月14日 23時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
rinochan810(プロフ) - あの、本当に素敵です…ドキドキさせられてます…。いつも楽しみにしています。これからも応援してます…! (2020年9月14日 19時) (レス) id: 06f6601bca (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ミリさん» コメントありがとうございます!文章に関しては、普段文字量が詰め詰めで申し訳ない…と思いながら書いていたので、そう言って頂けると凄く嬉しいです;;今後も、更新が遅くなる日もございますが宜しくお願いいたします!! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
ミリ - はじめまして。リメイク前の作品も読ませていただきました!!どちらも面白かったですし、文章も読みやすかったです。絵もステキですね!!!これからも読ませていただきます!!! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Aaaさん» リメイク前の作品まで読んで頂けるとは…!とっても嬉しいですありがとうございます!!今後も、ちまちま細々と更新していきますので是非最後までお付き合い頂けると有難いです…! (2020年8月10日 21時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年7月27日 0時