327：余計なお世話よ ページ29
カストロは続ける。
「一年前、奴からの洗礼で私は念に目覚めた。言ってしまえば、私は未だにあの男が怖い。恐怖の対象だ。恐怖を乗り越えなければ、その先に進めず強くなれないというのは君も理解できるだろ」
Aは黙っている。
「だから、殺す。殺して、私は恐怖を乗り越える」
Aの目を真っ直ぐと見つめるカストロの瞳。
「君を誘い、話してみることで君は奴とは大きく違う事を再確認したよ。どういう因果があるかは知らないが、君は彼と居るべきじゃない。私はね、それで君が悲しむ姿も見たくないんだ。……今すぐ、ここから身を引くといい」
Aはカクテルグラスを手に取る。
「貴方の勝算は？」
静かに尋ねた。
「無論、私が勝つ」
Aはその言葉に、深く目を瞑りそして開くと同時＿＿＿＿カストロにカクテルの中身をぶっかけた。
彼の長い髪からアルコールが滴り落ちる。
驚いた客達や通りがかりの人々が、彼とAを見ていた。
「馬鹿にしないでッ」
Aの声が響いた。
「私は、ヒソカ君が死のうが死ままいがどうだっていい。けど、だからって私が可哀想な目で見られるのだけは腹が立つ。心底ねッ！他人から向けられるお節介ほど腹立たしいものは無いわよ！」
ガタリと音を立ててAは席を立つ。
「話してみて分かった。私、貴方みたいな男が心底嫌いだわ。私が悲しむですって？分かった様な口利かないで。 私の事、その程度だと思わないで頂戴」
Aは机の上にカクテル代を捨てるように置くと、カストロの横を通り抜け去っていく。
去り際、カストロは含み笑いを浮かべて呟く。
「嘘つき」
「嘘じゃない」
その言葉を最後に、Aは人混みの中に消えていった。
Aがやたら機嫌悪そうに戻ってきた。
200階ロビーで座り待つヒソカ。
その目の前の廊下から、Aがつかつかと歩いてきたのだ。
服装は先程のままで、どうにも風呂に入ってきたとは思えない。
「あれ？お風呂は？」
ヒソカが尋ねると、Aは彼の前で仁王立ちし不機嫌そうなまま口を開く。
「今日貴方の部屋で過ごす」
「……えっと、どういう風の吹き回しかな？」
きょとんとするヒソカに、Aは「やかましい！」と声をあげた。
「貴方の部屋で過ごすって言ったら過ごすのよ。貴方の部屋でお風呂も入るし寝るの！！以上！！！」
Aはヒソカの横を通り抜け、後ろのベンチにどかっと腰を下ろした。
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鼻毛太郎(プロフ) - アネモネさん» ありがとうございます！とっても嬉しい限りです…；；夢主好きになってくれるなんて、めちゃくちゃ嬉しい…律儀というか天邪鬼というか健気というか純粋というか、そんな夢主ですが今後も宜しくお願い致します…！！ (2021年7月25日 10時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 面白すぎて、一気にここまで読んでしまいました………。今まで読んできた夢主ちゃんの中でトップレベルで好きです…！！ヒソカとの絡みで素直になれないところとか本当に可愛すぎます……！！作者様のペースで、これからも更新頑張ってください！ (2021年7月24日 18時) (レス) id: 3b50ba95a6 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいお言葉頂けてモチベ上がります；；ヒソカもお姉さんもこれからまた関係が動いていったり、第三者が介入してきたり今後色んな事が起こりますが、是非今後も楽しんでくださるとありがたいです！お楽しみに！！ (2021年7月9日 22時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - 続編おめでとうございます。物語の構成があまりにも面白くて、大好きな作品です。ヒソカの性格も私の思い描いている通りで、また、彼と絡む夢主ちゃんの強さや弱さがとても大好きです。これからも無理なさらずに頑張ってください！ (2021年7月9日 20時) (レス) id: 56780b611d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2021年7月9日 1時
