325:長髪の男 ページ27
「この私が、こんな事で、乱されるなんてッ…!」
思えば思うほど苛立ちと焦りが生まれる。
この苛立ちが、自分の感情を乱されていてそれを上手く処理できないからというのが余計に腹が立つ。
「自分を見失う程好きなわけ、っ、馬鹿みた____、」
「お嬢さん、私の部屋に何か用かな?」
突然声がして、Aは思わず鍵を手から滑らせる。
カランと床に落ち、Aは一瞬取ろうかとも迷ったが、それよりも声の主に目が向いてしまった。
数歩離れて、長い髪の男がこちらを見て立っていた。
男は、今度はにこりと笑みを浮かべてもう一度尋ねた。
「ここ、私の部屋なんだが…何か用かな?」
そう言われて、Aは漸くハッとする。
急いで扉横のプレートに目をやれば、確かに部屋番号が違った。
しまった。
Aは、顔を真っ赤にしながら早口に弁解する。
「あっ、いやっ、あ、えっと、す、すみません…!私、あの、あー……部屋を、その…間違えてました…」
あは、あはは、と申し訳なさそうに笑うA。
これはあまりにも恥ずかしすぎる。
初対面の男の部屋を、必死に開けようとする女。
申し訳ないことをした。
最初こそ笑っては見たものの、思い直してみれば普通に不審者だろう。
Aは、そのまま眉を下げ普通に謝る事にした。
まさか、ここまで周りが見えてなかったとは。
「そこまで、申し訳なさそうな顔をされると驚いてしまうな。君はもっと高飛車な人間かと思っていたからね」
「え…」
男の言葉に、Aは拍子抜けした顔をみせる。
男はフッと笑って、「立ち話もなんですから、お茶するのはどうですか?」と尋ねた。
親指で示す先には、階下へ降りる事が出来るエレベーターがある。
物腰柔らかい長髪の男。
Aは少し考えて、頷く。
「部屋にどうぞなんて言ってたら、ド変態って顔面殴ってたわ」
「じゃあ、最初から私の事知ってたって訳ね。カストロさん」
天空闘技場近辺は、闘技場もあって観光都市として開発が進んでいる。
特に、夜は飲み屋なんかが精を出して、昼よりも賑わっているのだ。
お茶なんて、と言ったものの結局二人はパブに入ってしまった。
テラス席で、Aはカクテルグラスに口をつけ知り合ったばかりの目の前の男を眺めた。
カストロ。
200階闘技者。
物腰柔らかで、女性の扱いには手馴れてそうだ。
遊び人という訳じゃなく、恐らく普通にモテる。
強さはよく分からない。
肉弾戦のみなら勝てそうだ。
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鼻毛太郎(プロフ) - アネモネさん» ありがとうございます!とっても嬉しい限りです…;;夢主好きになってくれるなんて、めちゃくちゃ嬉しい…律儀というか天邪鬼というか健気というか純粋というか、そんな夢主ですが今後も宜しくお願い致します…!! (2021年7月25日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 面白すぎて、一気にここまで読んでしまいました………。今まで読んできた夢主ちゃんの中でトップレベルで好きです…!!ヒソカとの絡みで素直になれないところとか本当に可愛すぎます……!!作者様のペースで、これからも更新頑張ってください! (2021年7月24日 18時) (レス) id: 3b50ba95a6 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉頂けてモチベ上がります;;ヒソカもお姉さんもこれからまた関係が動いていったり、第三者が介入してきたり今後色んな事が起こりますが、是非今後も楽しんでくださるとありがたいです!お楽しみに!! (2021年7月9日 22時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - 続編おめでとうございます。物語の構成があまりにも面白くて、大好きな作品です。ヒソカの性格も私の思い描いている通りで、また、彼と絡む夢主ちゃんの強さや弱さがとても大好きです。これからも無理なさらずに頑張ってください! (2021年7月9日 20時) (レス) id: 56780b611d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年7月9日 1時