検索窓
今日:44 hit、昨日:60 hit、合計:100,271 hit

313:200階到達 ページ15

エレベーターから、200階に足を踏み入れる。

Aはアヒル頭を取って、閉じていた瞼を薄く開けた。


ビシビシと体に当たる、禍々しいオーラ。
空気中が一気に抑圧され、念を会得していない常人ならば進む事さえままならないだろう。
いいや、恐らく普段の倍はオーラを研ぎ澄ませている。
熟年の狼が遠く離れた獲物を捉えた時の瞳。それぐらい洗練され鋭い。
念を会得したものでさえ、この先進むのを躊躇うかもしれない。


その中を、Aは躊躇なく進んでいく。
口元に少しだけ呆れた笑みを浮かべて。


「200階の受付はあちらになります」


廊下奥から現れた、案内人の女性。
目の下の隈が目立つが、どこかそれが艶めかしい。
Aは廊下入口で足を止め、「ええ、そうみたいね」と一言返した。同時。

廊下奥から速球で真っ直ぐ飛んでくる物体。
A目掛け飛ぶそれは、トランプよりは大きく薄い。

風を切って飛んできたそれを、Aは2本の指で挟み止めた。
同時に、それはくたりと力を失う。

Aは廊下奥に向かって、声をかけた。



「強化した受付用紙なんて飛ばして、なんのつもりかしら?」



きょとんとする案内人の女性、その横から姿を現したのは自身がよく知る男。

「や、待ってたよ♡」

ヒラヒラと手を振るヒソカに、Aは彼のもとまでやってくると拳でどついた。

「オーラまで撒き散らして…大人しく待てないの?」

「これでも我慢した方なんだよ?」

「とか言って、ちゃっかり私の試合見に来てたくせに。どの口が言ってんのよ」

「だって、君まるでボクの事なんて忘れてますって感じだったじゃないか♢」

Aはヒソカの言葉に「はいはい」と返事を返して、受付まで進んでいく。
やっぱり、ここに来た時のオーラは彼で間違いなかった。あんなオーラを出す人間を、Aは生きてた中でヒソカしか見た事がない。


本当、呆れた奴…


Aは、思わず口元に小さく笑みを浮かべた。





Aが受付前で200階登録の申請書を書いていると、突然横に居たヒソカがAの腰に手を回した。

「ね、A♡」

「ちょ、耳元で喋らないでもらえる??」

思わず文字を書き間違えるところだった。
しかし、ヒソカはそんな事知ったこっちゃないという様子で、Aの腰をゆっくり撫でる。

「日にちは何時でもいいし、君が仕事を終えたらでいいから、ボクと闘って♡」

お願い、告げた言葉に耳元がゾクゾクとする。
Aは遂に文字を書き間違えた。

314:おねだり→←312:190階越え



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (207 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
309人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鼻毛太郎(プロフ) - アネモネさん» ありがとうございます!とっても嬉しい限りです…;;夢主好きになってくれるなんて、めちゃくちゃ嬉しい…律儀というか天邪鬼というか健気というか純粋というか、そんな夢主ですが今後も宜しくお願い致します…!! (2021年7月25日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 面白すぎて、一気にここまで読んでしまいました………。今まで読んできた夢主ちゃんの中でトップレベルで好きです…!!ヒソカとの絡みで素直になれないところとか本当に可愛すぎます……!!作者様のペースで、これからも更新頑張ってください! (2021年7月24日 18時) (レス) id: 3b50ba95a6 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉頂けてモチベ上がります;;ヒソカもお姉さんもこれからまた関係が動いていったり、第三者が介入してきたり今後色んな事が起こりますが、是非今後も楽しんでくださるとありがたいです!お楽しみに!! (2021年7月9日 22時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編おめでとうございます。物語の構成があまりにも面白くて、大好きな作品です。ヒソカの性格も私の思い描いている通りで、また、彼と絡む夢主ちゃんの強さや弱さがとても大好きです。これからも無理なさらずに頑張ってください! (2021年7月9日 20時) (レス) id: 56780b611d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年7月9日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。