313:200階到達 ページ15
エレベーターから、200階に足を踏み入れる。
Aはアヒル頭を取って、閉じていた瞼を薄く開けた。
ビシビシと体に当たる、禍々しいオーラ。
空気中が一気に抑圧され、念を会得していない常人ならば進む事さえままならないだろう。
いいや、恐らく普段の倍はオーラを研ぎ澄ませている。
熟年の狼が遠く離れた獲物を捉えた時の瞳。それぐらい洗練され鋭い。
念を会得したものでさえ、この先進むのを躊躇うかもしれない。
その中を、Aは躊躇なく進んでいく。
口元に少しだけ呆れた笑みを浮かべて。
「200階の受付はあちらになります」
廊下奥から現れた、案内人の女性。
目の下の隈が目立つが、どこかそれが艶めかしい。
Aは廊下入口で足を止め、「ええ、そうみたいね」と一言返した。同時。
廊下奥から速球で真っ直ぐ飛んでくる物体。
A目掛け飛ぶそれは、トランプよりは大きく薄い。
風を切って飛んできたそれを、Aは2本の指で挟み止めた。
同時に、それはくたりと力を失う。
Aは廊下奥に向かって、声をかけた。
「強化した受付用紙なんて飛ばして、なんのつもりかしら?」
きょとんとする案内人の女性、その横から姿を現したのは自身がよく知る男。
「や、待ってたよ♡」
ヒラヒラと手を振るヒソカに、Aは彼のもとまでやってくると拳でどついた。
「オーラまで撒き散らして…大人しく待てないの?」
「これでも我慢した方なんだよ?」
「とか言って、ちゃっかり私の試合見に来てたくせに。どの口が言ってんのよ」
「だって、君まるでボクの事なんて忘れてますって感じだったじゃないか♢」
Aはヒソカの言葉に「はいはい」と返事を返して、受付まで進んでいく。
やっぱり、ここに来た時のオーラは彼で間違いなかった。あんなオーラを出す人間を、Aは生きてた中でヒソカしか見た事がない。
本当、呆れた奴…
Aは、思わず口元に小さく笑みを浮かべた。
Aが受付前で200階登録の申請書を書いていると、突然横に居たヒソカがAの腰に手を回した。
「ね、A♡」
「ちょ、耳元で喋らないでもらえる??」
思わず文字を書き間違えるところだった。
しかし、ヒソカはそんな事知ったこっちゃないという様子で、Aの腰をゆっくり撫でる。
「日にちは何時でもいいし、君が仕事を終えたらでいいから、ボクと闘って♡」
お願い、告げた言葉に耳元がゾクゾクとする。
Aは遂に文字を書き間違えた。
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鼻毛太郎(プロフ) - アネモネさん» ありがとうございます!とっても嬉しい限りです…;;夢主好きになってくれるなんて、めちゃくちゃ嬉しい…律儀というか天邪鬼というか健気というか純粋というか、そんな夢主ですが今後も宜しくお願い致します…!! (2021年7月25日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 面白すぎて、一気にここまで読んでしまいました………。今まで読んできた夢主ちゃんの中でトップレベルで好きです…!!ヒソカとの絡みで素直になれないところとか本当に可愛すぎます……!!作者様のペースで、これからも更新頑張ってください! (2021年7月24日 18時) (レス) id: 3b50ba95a6 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉頂けてモチベ上がります;;ヒソカもお姉さんもこれからまた関係が動いていったり、第三者が介入してきたり今後色んな事が起こりますが、是非今後も楽しんでくださるとありがたいです!お楽しみに!! (2021年7月9日 22時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - 続編おめでとうございます。物語の構成があまりにも面白くて、大好きな作品です。ヒソカの性格も私の思い描いている通りで、また、彼と絡む夢主ちゃんの強さや弱さがとても大好きです。これからも無理なさらずに頑張ってください! (2021年7月9日 20時) (レス) id: 56780b611d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年7月9日 1時