285：自覚 ページ37
ヒソカが少し屈み、顔を近づけ、互いの鼻先が掠れ合う。
唇同士が触れ合うギリギリで止まり、薄く伏せられた瞼が少しだけ開かれる。
猛禽類のような金の瞳がAの瞳を捉えて、暫くじっと目を合わせる。
ばく、ばく。
心臓が高鳴る。
強張り、瞬きもしないA。
ヒソカはふっと小さく笑って、また瞼を薄く伏せ、唇同士の距離をゼロにした。
二度目のキス。
たった二文字の簡単な言葉なのに、どうしてこんなにも死にそうな気持ちになるだろうか。
脳みそがどろどろに溶けていくようで、ふわふわして、何も考えられなくなる。
触れる程度に唇同士を合わせて、ゆっくり離れる。
「A、何も言わないとそのまま襲っちゃうよ♧」
そんなに簡単に許されると、何でもしていい気分になる。
ヒソカは付け足す。
その言葉に、Aは振り絞るような声で急いで「そ、それは、だめ、デス」と返す。
「だめなんだ♤」
笑うヒソカに、Aは「だって、」と繋げる。
「だって、そういう、関係じゃ…ないから。…私達」
もう許してくれ、解放してくれ。
心臓が口から出そうな気分なんだ。
息も苦しいし、頭もよく回らない。
気を抜いたら悲しくもないのに涙が出そうだ。
ヒソカは小首を傾げて、また顔を近づける。
「そういう関係になるのは？」
耳元に唇を寄せて
「いつでも、君に必要以上に触れていい関係」
囁く
「さっきの言葉、いつもの冗談じゃないよ♢」
そんなの分かってる。
分かってるから、こうなってるんだ。
分からない方がマシだった。
もう分からない。
ずっと分からない。
「ボクは、君の事をそういう意味で好きなんだけどな♤」
嘘をついてくれる方がマシだった。
可愛いなぁ君ってばとからかってくれる方がまだマシだった。
セクハラ紛いの言葉をぶつけてくれる方がまだマシだった。
欲望に忠実に動いてくれる方がまだマシだった。
だって、こんなにも優しく触られて、ゆっくりと溶かされていく感覚にさせられて、そんなの普段しないくせに。
「どうしよう…っ」
Aは両手で顔を覆った。
ごめん
もう無理
「もうずっと前から、自分じゃコントロール出来ないのよ…っ」
小さな頃から、感情のコントロールは誰よりも得意だった。
辛い時も、痛い時も、私が乱せば弟達が不安になる。
だから、どんな時もお姉ちゃんでいる為に得意だった。
なのに、それなのに。
「＿＿＿＿好き、自分が嫌になるぐらい、好き…っ」
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鼻毛太郎(プロフ) - みこさん» コメントありがとうございます！新しい扉開けたようで、私としてはとても嬉しい限りです限りです😂現在進行形で長く続くシリーズではありますが、是非引き続きお楽しみください！！ (2022年6月1日 22時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます...！実は私ヒソカさん、可もなく不可もなくくらいだったのですが...この話を読み始めたらなにやら目覚めました...笑← 一気に読み進めてしまい、夢中になっております！！続編もウキウキしながら楽しみに読みます！！ (2022年6月1日 20時) (レス) @page50 id: e77f4d9956 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» 毎回ポテトさんからコメント頂けて本当に有難いです；；私こそ、ポテトさんからのコメントを楽しみにしているんですよ…段々クロロとのシーンが刻々と迫ってきていますね…私自身も皆さんにお見せできる日を楽しみにしています！こたらこそ、以降も宜しくお願いします！ (2021年7月9日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト(プロフ) - 続編おめでとうございます。本当に一話一話を読むのが、楽しいです。これから、お姉さんがクロロとどう関わっていくか楽しみです。ヒソカとの、いつもの会話が久しぶりに見れて、「やっぱりこれだよな」と思い、最高でした。これからのお話も楽しみにしています。 (2021年7月8日 22時) (レス) id: 1bfcbf4b39 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» ああありがとうございます；；凄く達成感を感じますね…この展開、ネタ帳を見たら昨年の9月に決まってたみたいでビックリしました。温めていたものを皆さんに見せられてとても満足しています。神回まで言われて、本当に嬉しい限りです…；；；； (2021年6月29日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2021年5月30日 0時
