230:タイプの話 ページ32
本当に、自分は彼のことをなんでも分かってるんだなと感じてしまう。
3年以上の付き合いだからか、それとも相当気が合うのか。
出来れば前者であって欲しいな
デカいくせして、犬のようにぐるぐると自分の周りを回り「ねぇ、A?Aってば」と喧しく呼んでくる姿が浮かぶ。
うーん、こんなにも鮮明に思い出すか
Aは眉を寄せたまま、「ねぇ、イル」と片割れの名を呼ぶ。
「…好きな子とかさぁ、居ないの?」
姉から出た不思議な問いに、イルミはあからさまに顔を顰めた。
何その質問、とイルミは顔だけで尋ねる。
すると、Aはすぐさま早口で「いや、ほらね?」と続けた。
「貴方って、どんな子が好きなのかなぁ…って」
「姉さんみたいな子」
ほぼ食い気味に答えたイルミに、Aは言うと思ったと口を噤む。
「まぁ、半分冗談だけど」
じゃあ、もう半分は本気なんかい。
Aは無機質に笑うイルミを横に内心つっこむ。
「姉さん、そんな事聞くなんて珍しいね。なんかあった?」
相変わらず針だらけの顔をして、イルミが尋ねた。
Aは「うぅん…」と呟くような唸り声を漏らしたあと、言葉を返す。
「いやぁ、ね…。双子のアンタに聞けば、私の好きなタイプっていうの?そういうのも分かるかなって。ほら、私達似てるじゃない?」
顔を見合わせる二人。
なんでそんな事知りたいの?とイルミは尋ねようとしたが、恐らくこの姉の事だその理由こそ自分で自覚していない可能性がある。
「そういうもんかな」
「そういうもんでしょ」
二人は、その後特に深い話をする事もなく「数日後、また落ち合おう」と言葉を交わし一旦別れる事にした。
「ヒソカと会う予定は?」
「気が向いたらね」
片手をひらりと振るA。
相変わらずドライだなぁ、姉さん。
こんな人をよく四六時中追いかけられるものだとイルミは思う。
「姉さん、」
去り際、イルミはふと彼女を呼んだ。
「ん?」
振り向くウサギ頭は実に滑稽なものであった。
「次こそは俺を頼ってね。あんまりヒソカを頼ると、俺ヤキモチでアイツの事殺しちゃうよ」
だいぶ真面目に言った。
Aはその言葉にカラリと笑ってみせる。
「それは困るわね。彼、アレでも私にとっては結構大切だから。殺されないように、今度は弟も頼らなくちゃ」
やれやれ、とわざとらしく肩を竦めてAはその場から去った。
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鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» し、した…!!!って感じですよね…!絶対無茶苦茶な会話してますよ…おわーーテスト頑張ってください;;テスト明けいっぱい楽しめるよう、沢山お話作っておくので…!いつも応援されている身なので、今回ばかりは私が応援を!頑張って!! (2021年5月28日 19時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - きゃーーーー(/ω\)キャー〜ついに、ついに、キッッッッッッッッスですか。確かに、早く旅団との絡みもみたい(*´-`)クロロと4人での会話なんて、めちゃくちゃテンション上がりますo(*≧∀≦)ノただ、テスト期間なのでこれからコメントするのが、少なくなりそうです(..) (2021年5月28日 16時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» そうなんですよね…!意外と真面目な戦闘シーンって無くて、今後もちょくちょく出てきます…!たまには2人とも動ける人なんだから、目一杯動いてもらいたくて! (2021年5月26日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - ヤバイ、かっこいいぃぃぃぃ\(^-^)/ヒソカとの真面目な戦闘シーンって、今までなかったからすごく興奮しました(*´-`)『その時…』って何があったのぉぉぉ (2021年5月26日 19時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» 絶対2人に「それは無理がある」って言われるけど、「は?」って言って黙らすんだろうなと書きながら思いましたね笑数話殺伐とした内容が始まりますが、殺人鬼と暗殺者の真骨頂だと思うのでお楽しみに…!!! (2021年5月24日 22時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年4月14日 1時