彼が消えて早5年。今私は...3【降谷零・安室透】

119.side降谷 ページ41

Aに言われた通り、首を傾げながらも10秒数えて扉を開ければ、Aがそこに立っていた。








「おかえりなさい、零。」







そう言ったAに思わず固まってしまう。









それくらい想定外だった。








ずっと、誰かにあわよくば、Aに。








言って欲しかった言葉。








それを今聞けるとは思っていなかった。









思わず泣きそうになったのを堪えてかろうじて笑いながら「...ただいま」という言葉を紡ぎ出せば、その声は震えていて。









きっとAには泣きそうなのがバレているんだろうと思った。









Aに促されて家の中へ入っていけば透流が畳の上で寝落ちしている。それを見て笑いながらAが3人分の布団を用意していた。








そのうちの1つに透流を寝かせ、ほかの布団を指して俺に2人を寝かせるように言ってくる。









布団に近づいてまず郁流を降ろせば、そこで問題が発生した。







澪が俺の服を掴んで離さない。









掴まれた服をみて、助けを求めるようにAの方を見ると、クスリと笑って問いかけてきた。









「今日は、この後時間あるの？」








「あぁ、1日休みもぎ取ってきたからな。」








「じゃあ、澪と一緒に寝てあげて？あ、夕飯も良ければ一緒に食べようよ！！」








休みと伝えれば、ここで寝ろとの事だった。しかも夕飯まで。いいのか...？と視線を送れば、それは完全にスルーされ。









「じゃあ、私夕飯の買い出ししてくるから3つ子よろしく！！」









そう言って返事を待たずに家を出ていってしまった。

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