464:ギャルと血の絆 ページ14
____。
いつからだろう。
恵が、大切すぎるようになってしまったのは。
死に際に、師に彼の息子を託された時、私はなんの疑いもなく頷いた。
悩んでいる暇なんてあの時は無かった。
もだもだしているその時間に、今渡されたものが砂城のように崩れて無くなってしまうと思ったからだ。
呪術師として育てる。
分かってる。
悟が恵に接する姿を見て、何度も自分に言い聞かせた。
だけど、出来なかった。
あの子の顔が、自分の世界だったその人に似すぎていたから。
あの人がどうやって生きてきたか、どこで生まれて、どんな扱いを受けてきたかを知っていた。
初めて知った時、煮えたぎるような怒りがあった。
せめて、この子だけは自由に生きて欲しい。
君の道を阻む奴は全部私が殺してやる。
私は、気づくとあの人と恵を重ねてしまっていた。
普通の人間の人生を歩んで欲しかった。
あぁ、そうか。
私は、恵を透かせてその先に居る人を見てたんだ。
“恵”という人間を、見てやれてなかったんだ。
この子は、ただの人間じゃない。
ただの子供じゃない。
私と同じ、呪術師なんだ。
奥歯がギリリと音を上げる。
決意の音だった。
君と戦う、その覚悟の音だった。
「私の動きに合わせろ」
合わせられるか?なんて無粋なことは聞かなかった。
こいつなら出来るという信頼があったからだ。
Aの言葉に、伏黒は考えることなく強く「勿論です」と言葉を返す。
「恵、出来るだけサポートで動いて欲しい。サポート出来るほど体が動きそうにない」
「腕ですか?」
相手の男から目を離すことなく、伏黒はAに桐壺を渡す。
まだ何も障害を来たしていない方の手でAは桐壺を受け取るなり、「片腕が逝った。実は数分前から動かない」となんてことないように述べる。
「まぁ…硝子居るし後でどうとでもなるっしょ。あそこには夜蛾ちゃんも居____って、恵…??」
今、ビリビリって音しませんでした?
思ってみれば、案の定伏黒は手早く自身の上着を捲ると、中のシャツの裾を一切の躊躇なく割いていた。
「腕だけ縛って血止めといてください」
気休めでしょうけど。
「えぇ……恵ちゃん、イケメンすぎなぁい…?」
私にそんな感じだったっけ。
小さな頃から見てきた親戚の子供が、久々に会ったらとんでもない好青年に育ってしまっていた感覚と似ている。
「くだらないこと言ってないで、さっさとしてください」
「はいはい」
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時