042:ギャルと宿儺 ページ42
自身の前に立ちはだかるその人の姿に、伏黒は呆気に取られていた。
開けっぱなしだった口をなんとか動かし、その人の名を呼ぶ。
「Aさん…!?どうし、」
「選手交代に文句はつけつけませーん!」
Aはくるりと振り返り、伏黒の頬をすると手の甲で撫でた。
傷口に触れられ、伏黒はびくと肩を揺らす。
「ボロボロの子は、試合出れない。これ常識でーす」
わざとらしい口調で、Aは言う。
「痛い?」
「……痛い、です」
多分何を言っても言いくるめられる。
伏黒は渋々口を噤んだ。
Aはそれを悟ってか、満足そうに笑った。
Aが宿儺と対峙する。
振り向く瞬間の彼女の瞳を、伏黒は見逃さなかった。
恐ろしい程にギラつく緑色の瞳。
Aさん、怒ってる。
「両面宿儺…興味あるけど、教え子の為だしさっさと終わらさせてもらうよ」
Aが準備運動を始める。
宿儺はAの言葉に何を返さず、不自然なまでに黙っていた。
イレギュラーの登場に驚いているのか。
しかし、伏黒は何処か違和感を感じていた。
笑いもしない、高慢な口も開かない。
ただ、じっと、品定めをするかのような眼でAを見ている。
驚いている…?いや、そうじゃない気もする。
「ふむ……」
宿儺が漸く口を開いた。
伏黒もAも、宿儺の微かな反応に気を奪われたその時____。
「お前、Aか?」
誰も瞳で宿儺を追えなかった。
コンマ何秒もないうちに、宿儺はAと距離を詰めていたのだ。
宿儺は鋭利な爪と指でAの顎を掬い、顔を近づけ覗いている。
「……何。私って、そんな有名人ってか?」
Aは口の端を吊り上げ問う。
Aの手は手汗を掻き始めていた。
妙な緊張が空気を支配する。
しかし、当の宿儺はそんな事気にも留めていない様子。
「いや…それはない…」
宿儺は、ふむとまた自身の顎を撫で呟く。
コイツ、何を言っているんだ…?
意味は分からないが、今すぐ距離をとった方が良い。
ずり、と片足を後方に退けた瞬間だった。
「Aさんッ!!」
伏黒が声を張り上げるが遅い。
宿儺はAの胸ぐらを掴み、ぐっと顔を近づけると同時楽しそうに笑って言った。
「アイツは、この俺が殺したのだからな」
「…ッ!?」
圧倒的速度と威力で宙に振り上げられるA。
宿儺の真意を尋ねたかったが、今はそれどころではない。
空中でAは自身の術式『
2900人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - 麗華さん» コメントありがとうございます!🙌うん億年前に書いたイラスト、そういえばあったなとコメントで思い出しました笑刺さったようでとても嬉しいです🥺まだまだ長く続くシリーズ、ぜひお楽しみ頂けたら幸いです! (8月17日 12時) (レス) @page49 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - 夢主ちゃんの過去編からみてイラストを見ましたがめちゃどタイプです………これからも応援してます〜! (8月17日 9時) (レス) @page49 id: bc106b5b68 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます…!凄く有難いお言葉頂けて感激です😭😭長く続くシリーズ作品ではありますが、ぜひ今後もお付き合い頂けると嬉しいです…!!🌸🌸 (2022年1月2日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 話の構成がしっかりしててそれぞれの物語があってこんなに面白くて読みやすくて引き込まれる作品は初めてです…!!素敵な作品をありがとうございます最高です!体調にはどうかお気をつけて!! (2022年1月2日 0時) (レス) @page49 id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - yuuna1202さん» ありがとうございますーー!!;;今後もギャル先輩と後輩悟くんの二人を是非見届けてあげてください…! (2020年12月9日 20時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年11月18日 23時