【呪術廻戦】呪術とギャル-0-

044：呪具宝物 ページ44

私は絶賛反抗期って奴なので、いちいち親父が居るかなんて知ったこっちゃない。
まぁ、オッサンが聞いてくるなんてちょっと珍しかったけど。

オッサンと親父の関係はいまいち分からない。

対して話してるのも見た事ないし、仲が良いのかも知らない。
でも、オッサンがこの寺で寝泊まりしている事に関して、親父が何か言っているような様子もない。

オッサンは私の言葉を聞くと、｢そうか…｣と呟いた。

そして、煙草を地面に押付け消すと嫌な笑みを浮かべた。
うわ、私その顔嫌い。だって良い事考えてた試しがないんだもん。

｢ババアが使ってた呪具、秋星が居ねぇなら使ってみるか｣

｢母さんの！！？｣

思わず私は立ち上がった。
だって、そんな話聞いた事が無かったからだ。

ウチの母親は呪具を使う人間だったんだ。
その呪具が、この寺院に眠っていることも知らなかった。

でも、親父が居ないから使うって…どういう意味だ？

｢ねぇ、オッサ、｣

尋ねる頃には隣に居なくて、オッサンは既にすたすたとどこかへ向かい始めていた。
その背を急いで追いかける。

｢ちょ、何処向かってんだよ｣

｢蔵｣

｢はぁ？…なんで蔵にそんなもんある事知ってんの？｣

確かに、ウチの寺院には蔵がある。
中に興味も用事も無いからそもそも開けた事がないし、親父が開けているのも見たことが無い。
そんな所に本当に呪具があるのか？

オッサンはポケットに手を突っ込んだまま歩いていく。

｢ちょっとな。鼻が良いもんでよ、見つけたんだ｣

オッサンは自分の鼻がをとんとんと叩き得意げに言う。
オッサンが持ってる、天与なんとかを私はいまいち理解していないから曖昧に返事をする事しか出来ない。

そもそも、本当に鼻が良くて見つけたのかも分からないし。

蔵に着くと、オッサンは慣れた手つきで鍵を外す。
その光景に思わず驚いた。

｢すげ…オッサン、今のピッキングってやつっしょ？うわぁ…出来る人ってマジで存在するんだ…映画みたい｣

｢お前、相変わらずズレてるな。普通は、家の蔵を無断で開けられてる時点で怒るんだがな…｣

｢いいよ別に。私、蔵の中身が泥棒に盗られようが知ったこっちゃないし｣

蔵の中に私の大切な物なんて無い。
別にどうなろうが支障は来さないからだ。

言ってやると、オッサンは呆れたと笑いながら中へ入っていく。

蔵の中はホコリ臭かった。
私はホコリ臭さに文句を言いながら、オッサンの後をついていく。

｢あったあった｣

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