025:陰謀計画 ページ25
修練場の扉が隙間から、Aは外を覗いた。
補助監督の尾道と夜蛾が何やら話し込んでいる。
Aは、未だ実践任務に向かったことがない。
それは勿論、彼女が戦闘に置いてポンコツだからというのもあるのだが、最も厄介な体質を持ち合わせているからであった。
究極引き寄せ体質。
未だ呪力でカバーしきれないその体質故に、任務地に迎えば恐らく標的の呪霊だけでなく他の呪霊も寄せ集め、最終的には一級呪術師、いや最悪特級呪術師が出てこなければならなくなる。
そんな最悪を招かない為にも、Aはある程度一人前になるまで任務へ出向くことはない。
けど……
「体で体験しないとさぁ」
理論より体で覚える。
Aはそういう人間だ。
予想するに、二人が話しているのは任務内容だろう。
きっと、夜蛾が出向くものだ。
これを盗み聞きし、夜蛾が出向く前にAが祓う。
思い描くと、ニヤニヤが止まらなかった。
「いや、私って天才か?」
考えずとも、この案は天才。
上手く行けば、二級ぐらいは飛び級なんて展開もあるかもしれない。
「フッフッフッ……いやぁ、私って悪い子だなぁ!けど、やりてーって思ったら何でも試して見たくなっちゃうんだよな〜!!」
わはは、とAは高笑いする。
だが、まずは二人の内容を盗み聞きしなければならない。
これが第一の壁だ。
夜蛾の壁でかいなぁ…
っつーか、何事に関しても邪魔なんだよなぁ
学生は大人に反発したくなる生き物だ。
元が素行の悪い人間なら、より尚更。
資料を見る手段は無いし、とAは聞き耳を立てることに専念する。
「じゃあ、例のか?」
「ええ…最近、呪術師を狙った犯行が多くて…恐らくですが、全て同じ人物で間違いないかと」
「呪詛師の割り出しは?」
「……それが…。」
尾道の言葉が詰まっている。
不審に思った夜蛾が言葉の先を急かした。
「残穢が………例の青年のものでして」
「…何?」
夜蛾の声が一層低くなった。
Aは扉の向こうで、「例の青年…?」と片眉をあげる。
「いや、まだ確定した訳では無いんです。幾つかある残穢に混ざって、“彼”らしき残穢があったんです」
尾道の言葉に夜蛾は「ふむ」と顎を撫でた。
「…っつーか、残穢って何」
Aは顔を顰める。
恐らく教科書に載ってるんだろうが、そんなものAが真剣に読んでいるはずがない。
「オッサンに聞いたら教えてくれるかな」
いや、あいつから物事を習うのはなんだか負けた気分になる。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時