021:唯我独尊 ページ21
Aと初めて出会ったのは、まだババア__可借夜 綺羅が生きていた時。
Aを初めて認識したのは、ババアの葬式の時だった。
小せぇガキが居るんだなぁ、ババアには。
なんて、その程度の記憶で名前なんて覚えちゃいなかった。
この俺は、伏黒甚爾という人間は、術式至上主義の家に生まれたというのに呪力が一切無かった。
クソ喰らえ、禪院家と思っちまっても仕方がないぐらいそりゃもう酷い仕打ちだった。
いくつの頃だったか、まだ禪院の家に居た頃ババアがやってきた事がある。
眩しい金の髪に、喪服みてぇな黒い着物。
Aとは正反対に、表情の変化は薄く淡々と喋る。
まるで機械みてぇなババアだった。
そして、酷い仕打ちを受ける俺を見て、ババアは真顔で言った。
「アンタ、いい目をしているね。どうだい、手始めに禪院家でも潰してしまいなさいな」
そこには、禪院直毘人も居て、面白ぇぐらい青筋立ててやがった。
それが、ババアとの出会い。
そんなババアも、呪術師として死んだ。
殺されたらしかった。
へぇ、あのババアが。
葬式で、ババアの死に顔を見るまで実感が湧かなかった。というか、悲しいのかもよく分からなかった。
多分、悲しくなかった。
あのババアの事だ、散々暴れて掻き乱して死んだんだろうな。
その頃の俺は、禪院から出て行った頃だった。
だから、俺を見た禪院の人間共は相当驚いてやがった。
禪院直毘人が声をかけてくる。
それは、顔を見せてくれたのかなんて歓迎の声ではなかった。
まぁ、当たり前って言やァそうなんだが。
気にもしてない。
うるせぇなぁってぐらいの感覚。
その時だった。
「おい、ジジイ。ぐちぐちぐちぐち、テメェ口の中にウジ虫でも飼ってんのかぁ?ウチの母親の葬式で、許可なくでけー口叩くな」
禪院直毘人に、そう言って茶をぶっかけた奴がいた。
場が静まり返る。
「そういうの、他所でやれや。飯が不味くなる」
ケッと、吐き捨てながら言ったのはババアによく似た金髪のガキ。
片手には、葬式内で出されたくいかけの弁当を携えて。
禪院家も加茂家も五条家も、その他全員がガキを見ていた。
思わず笑いが込み上げる。
コイツ、完全にババアの血を継いでやがる。
後で名前を聞きに行った。
「オッサンが話しかけんな」
ムカつくガキ。
けれど、俺はその日からこのガキ___Aを完全に認識した。
以降、妙な愛護精神が俺に湧いたとは思えないが、Aに構うようになった。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時