003:已己巳己 ページ3
____。
「呪術とは、崇高なものである」
「…なにそれ」
ズゾーッと、言葉の後に音が鳴る。
高校一年になったAは、読んでいた書物を机にべしっと置き「って、教科書に書いてあっから」と付け足す。
目の前の友人は、一層『何言ってんだ』と顔を顰めストローからジュースを吸い込んだ。
ファストフード店2階。
二人のギャルは、平日の昼間から机二つ席四つの場を陣取り暇を持て余していた。
ふわふわと巻かれた金の髪、長い爪はラインストーンなどでゴテゴテと装飾され、耳には沢山のピアスがついていた。
Aの正面に座る友人のギャルも、同じようななりをしている。
大きく違う点と言えば、制服だ。
「…ねぇ、Aさ」
「ん?」
教科書と呼ばれたそれに載る人物の写真。
友人のギャルはちらりと盗み見たが、一体それが誰かは分からなかった。
Aはその写真に落書きを施している。
…なにその写真の人。
腕四本あるんですけど。
え、人間…?
「アンタんとこの仏教校…制服すげぇな…」
友人のギャルは言う。
彼女も大概自分なりに着崩しカスタムしているが、Aは着崩しの範疇を超えていた。
襟首の高い真っ黒な上着はどこか学ランを思わせ、スカートは当たり前のように短かい。
とはいえ、同じくらい真っ黒だ。
「あー、もっとカスタムしたかったんだけどさぁ、なんか怪我する事多いからあんま肌だすなって怒られたんだわ。スカート元々膝まであったんだけど、そこは譲れなくて切った。」
「自分で?」
「当たり前」
Aの言葉に、友人のギャルは「は〜〜、やるねぇAも」と呟く。
「あんさぁ、さっきから落書きされてるそいつ…なんなの?偉人?」
「さぁ。なんとか……宿儺…?よく分かんねーわ。」
「……仏教の事、私にはよーわからん」
お手上げ、と手を上げる。
「アンタがさぁ、仏教校に入るって言った時私はマージで驚いたよ」
突然懐かしむように言い出した友人に、Aは軽く笑いながらポテトをつまむ。
「アンタの家って寺じゃん?やっぱそういう所に薄々行くのかなぁって思ってたけど、マジで行くとは思わなかったし。ど?楽し?」
友人が問うと、突然Aはムッと顔を顰めた。
「全然楽しくねー。」
「なんで。あー、分かった。クラス真面目な奴ばっかか」
「いーや、全員停学」
「は?」
「クラスメイト、私含めて2人なんだよね。超ウケるでしょ。島にある学校かよって」
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時