016:諸行無常 ページ16
____。
「帰ったらただいまパパと言わんか、Aーーー!!!!」
「声がデケェよ!!音量調節機能ぶっ壊れてんのか!!??」
父親、秋星に負けじとAは声を張り上げる。
すげぇご近所迷惑な親子だな。と、甚爾は思ってしまう。
とはいっても、ここに何度も出入りする甚爾にとっては相変わらずの光景だ。
絶賛反抗期のAだが、甚爾から見ればこの住職の父親とは結構息があっているのではないだろうか。
可借夜秋星。
この寺院の住職であり、Aの父親。
195cm以上はあるだろうという馬鹿みたいな身長に、それに見合った体躯はゴリラと言われても仕方ないだろう。
「遺伝が壊れてんだろうなぁ…この家は。」
この親父からこの娘は想像できねぇなぁ…と思った甚爾。
「一体この時間まで何処ほっつき歩い____、」
言葉の途中、秋星が甚爾の姿に気づいた。
「…甚爾」
娘と会話する時とは違う声音。
甚爾は首をぽりぽりと掻く。
「ババァに手を合わせに来た」
「…あがっていけ」
秋星は寺院内へと顎をしゃくった。
入れ、という意味だろう。
甚爾はゆったりとした、気だるげな足取りで入っていく。
Aの視線が甚爾の姿を追っていった。
____。
オッサンはウチに来た時は大抵泊まっていく。
それは、一泊だったり数週間だったり色々だ。
オッサンがなんの仕事をしてるかは知らない。
けど、女沢山囲ってるのは知ってる。
でも多分、今日私はオッサンの仕事を初めて知ることになる。
オッサンのことについて、多分沢山知ることになる。
「…」
オッサンは本堂にいつも居る。
決まってそれは、仏像の目の前で胡座をかいて暫くぼーっとしてることが多い。
私はペタペタと素足の音を鳴らし、本堂に入るとオッサンの横に座った。
「ん?どうした。膝座るか?」
「…きしょ」
オッサンが、すかさずにやにやした顔つきで自分の膝を叩くので、私はオッサンの顔を見ることなく言ってやる。
こっちは女子高生だぞ。変態、暫く私に喋りかけんなよ。
オッサンは横で「つまんねぇ、ガキ」とほざいていた。
オッサンと私が並んで座る。
ふと、後ろから別の足音が鳴った。
布と板が擦れる音。
オッサンは首だけを向かせて、「あ」と声を出した。
「おー、
本堂外の廊下を歩いていたのは、弟の夜一。
学ラン姿の夜一は、オッサンへぺこと会釈する。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時