【呪術廻戦】呪術とギャル-0-

011：志大才疎 ページ11

そう言い切ったのが、二ヶ月前。


もっとこう、上手くいくつもりだった。


それが今じゃ、血だらけに打撲になんかもう…散々だ。


修練場にて、本日何度目かの放り投げ。

「クソ夜蛾ぁぁあああ！！」

空中でぐるんぐるんと三回転ほどし、びたんとAは床に体をぶつけた。
夜蛾は涼しい顔で、「受け身を取れと言ってるだろ」と述べる。

「何が、受け身だ…ッ、ギャルが戦闘訓練とか、するわけねーだ＿＿＿ぶッ！！」

顔面真っ直ぐに飛んできたのは、可愛い顔をしたウサギのぬいぐるみ。
の、拳。

ウサギはぴょこぴょことファイティングポーズをとり跳ねている。

「こンの、ウサ公ッ！！八つ裂きにしたるッ！！」

オラァッ！！と勢いよく起き上がり、目の前のウサギに飛びかかろうとするがあっさり避けられ、Aは再び顔を床にぶつけることになった。

「ふぅ…呪骸相手なら術式の使用は許可しただろ。お前の術式なら、相手の捕縛も出来ると思うが？」

「思うが？じゃねーんだよ…意外と難しいんだぞ私の術式ッ！！アンタと違って、対象に術式かける時間だっているし、力を込める時間だっているんだからな！！？」

「じゃあ、せめて近接だけでも極めろ。」

「はぁ？爪折れんじゃん。これ昨日塗った新作なんですけど。殴る蹴るとか、ギャルしねーだろ」

「じゃあもういい、ギャルをやめろ」

「呪術師もギャルも両方やる。なんで、辞めなきゃなんねーのよ。無理無理、信念曲げるみてーじゃん」

夜蛾はため息をついた。
そういう所には、無駄に自分を持っているんだな、と。

「近接もダメ、術式はコントロールできない、体質改善は……お前、そういえばツカモトはどうした？」

「この前うぜーから引き裂いた」

「……」

ダメだこりゃ。
夜蛾は片手で顔を覆った。

Aの引き寄せ体質はかなり重症だ。
ちょっと前彼女が高専から外に出た時、10体ほどの蝿頭を侍らせ帰宅した時は相当驚いた。
まだ本人の被害だけならまだしも、いずれ一般人に被害を与える可能性もある。

せめて、呪力コントロールを可能にすればAの引き寄せ体質は改善するのでは？

夜蛾はそう思い、その線に長けた呪骸訓練をさせた。
それが今や…。

良い出来だったんだがな。

可愛らしいクマの呪骸、ツカモト。
いつか絶対にお前の息子を作るからな。

｢私の術式、ホントに母さんも使えたの？ねぇ、ホントに同じやつ？｣

床の上でAは足を投げ出し座る。

｢あぁ。ただし、未完だったがな｣

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