箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】Part13

#心臓が持たない ページ6

試合再開、キックオフは相手から。

ボールは剣城君から白い人にパスされ、開幕早々兄弟2人のプレイに圧倒された。



ﾘｭｹﾞﾙ「行け、ガンダレス！」

ｶﾞﾝﾀﾞﾚｽ「行くよ、リュゲル兄！！」



さくらちゃんが抜かれて、ボールは剣城君に戻された。

直後にキャプテンが剣城君と並走するような形で追い掛け、剣城君のスキを伺っていた。



天馬「行かせないっ…！！」



2人の激しいボールの奪い合い。
でもボールを奪おうとするキャプテンは剣城君とぶつかって、何処か楽しそうに見えた。

普段はポーカーフェイスであまり表情を崩さない剣城君も微かに口元に笑みを浮かべている。


2人はきっと楽しんでいるんだろう、この試合を。

だって2人は同じ学校だもん。
こうでもなきゃ試合でまともにぶつかり合う機会は無い。


そんな2人の熱は敵味方関係無く他のチームメイトにも伝わり、試合を更に熱くさせる。



ﾋﾗﾘ「ここを通れると思って？」



ボールはキャプテンが勝ち取ったものの、すぐさま他の選手が立ちはだかる。

怖い人はキャプテンの体制を崩してボールを奪おうとしていたみたいだったけれど
キャプテンが転びそうになりながらも何とか堪えて、ボールをキープし続けた。



ﾊﾞﾙｶﾞ「ﾊｰｯﾊｯﾊｯﾊ！！我々の守りは鉄のように堅い！！」



だがその間にまた別の選手が襲い掛かる。

キャプテンはその人を避けようと横に逸れたが
その瞬間、まるでわかっていたかのように横から剣城君がスライディングで滑り込む。


不意を突かれたキャプテンは為す術もなく
ボールは弾かれてグラウンド外へ。



……同点に追い付かれて、相手も守りを堅めて来たんだ。

試合も後半戦で時間に余裕も無いから、このままじゃ引き分けで延長戦に入るかも。


うぅ、そうなったら私の心臓が持たない……

私、さっきから凄いプレイの連発で心臓がﾊﾞｸﾊﾞｸしてるもん……この試合は熱くなる凄い試合だけど、同時にﾊﾗﾊﾗする展開も多いから見ていて落ち着かない。


いや、そもそも見てて落ち着く試合なんて無いんだけれど……この試合は特に落ち着けない。



黒岩「時が来たな……」

A「…？」



皆自分のポジションに戻り、そのまま試合が始まるかと思っていたけれど
不意に向こうのベンチの監督……黒岩監督が手を挙げて、選手の交代を告げた。

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