箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】Part13

#彼の強さ ページ2

葵「信助…！」

井吹「くっ……」

A「…………」



再び訪れるピンチ。
点を決められ、ベンチにいる私達はそれぞれ苦々しい表情で西園君を見遣る。


やっぱり、強い…あの2人。頭はまるで良くないのに。

それに剣城君も本気だ。本気で私達に勝とうとしている。
そんな剣城君はやっぱり手強い相手だ。



ああ…！此処にいるのが歯痒い。

私も皆の力になりたい。


思わず祈るように胸の前で組んでいた手に力が込もる。

きっと井吹君だって同じ気持ちだろう。


でも反面、私が本当に役に立つのか、なんて。
いつもみたいにネガティブに考えてもみたり。


だって、こんなにも凄いプレイをする人達と闘うんだ。
私だって皆と同じ様に強くなったとは思うけれど、あの勢いを止められる自信はない。

『絶対に勝つ』って強い気持ちに、勝てる自信が無い。



……私は組んでいる手を膝上に下ろし、ただ黙ってプレイを見守る。

ただ黙って、勝利を祈るだけ。



−−−



神童「真名部！」



試合が再開すると、ボールは神童君へ。

神童君は更に真名部君にボールを繋ごうとしたが
それを剣城君が間に割ってカットした。



皆帆「通さないよ！」

真名部「行かせません！」



だが我等が頭脳派は瞬時に攻守を判断して、2人で剣城君の前に立ちはだかる。

でも相手の剣城君はやっぱり流石で
鮮やかなテクニックであっという間に2人を抜き去ってしまった。


だがその時にボールは勢い余って剣城君の足元を離れた。

そのチャンスを逃すまいと西園君は前に出たが
剣城君のミスだと思われたそのプレイ(・・・)も彼の計算の内だった。



信助「しまった…！」



西園君がボールを奪う前に剣城君が足を伸ばし、ボールを拾うと、そのまま西園君をも抜いて、無人のゴールへとシュートを打ち込んだ。


西園君は戻ろうとしたが、放たれたシュートはもう止まらない。



また、ゴールが決まってしまう。


そう思って私は思わず肩に力が込もってしまった。



天馬「信助！」

鉄角「うおおおお！！」



誰もが3点目を確信したその時
男らしい雄叫びと共に物凄い勢いでボールの前に回り込む鉄角君の姿が。

まだ諦めていなかった彼は、タイミングを見極めると
向かって来るボールに向けて、必殺技を放った。





鉄角『デットストレート！！』

#信頼の証→←＊逃げない＊

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