サファイアは安心する ページ7
「人格って……つ、つまりAは………狢申顛由吻瓩辰道なのか……?」
ようやっと目の前の彼女がいつものAではないと気付き始めたカラ松は、まだ困惑する頭で彼女にそう尋ねた。
言ってからカラ松は自分でも何を言っているんだろうと思ったが
彼女は笑うでもなく、目を細めたまま「そうよ」と頷いた。
「当たり前じゃない。あの子は虫も殺せないような優しい子なんだから。
そんな子がアンタ達みたいな猿共とあんな汚い仕事するワケないでしょ?」
「じゃあ………猯↓瓩了纏をしてる時に雰囲気が変わっていたのは……お前、だったのか?」
「ええ」
「…猯↓瓩了纏はずっと……お前が、していたのか?」
「もちろん。この子には到底出来ないもの」
「………カジノパーティーであの男達を倒して、俺を助けてくれたのは………お前か?」
「……ええ。そうよ」
「………………」
恐る恐ると言った様子で1つ1つ、確認しながらカラ松は彼女に尋ねた。
その度に彼女は肯定し、最後にカラ松は目を伏せる。
そうして少しの間呆然と視線を落としたまま固まっていたが
不意に、彼の口元が僅かに上がった。
彼は今この時、薄らと笑みを浮かべたのだ。
「……何笑ってんのよ、アンタ」
状態も立場も圧倒的不利な状況にいるにも関わらず、口元に笑みを刻むカラ松。
心做しか嬉しそうなその表情に彼女は眉を顰めて訝しげにカラ松を見遣る。
もしや何か企んでるのではと、一応彼女はポケットの銃に手を忍ばせながら。
「いや………良かったなと、思って」
「……は?」
しかし返って来た答えは全くの見当違いで。
彼女は思わず聞き返すとカラ松は顔を上げて、優しげな瞳で真っ直ぐ前を見た。
「……アレが、Aじゃなくって」
「……?」
「ずっと、気になってたんだ。あの純粋なAは仮初の姿で、猯↓瓩埜せるようなのが本性なんじゃないかって。
でも……そうか。Aじゃなかったんだな。
あの悪魔のような、残酷な姿はお前で……Aとは別人だったって、事なんだろう?
なら……良かった。良かったよ……」
心底安心したかのようにそう話、穏やかに微笑むカラ松。
その横顔を見て思わず彼女は顔を顰めるが、1つ息を吐いて1度気持ちを落ち着けた。
……その時、一瞬だけ彼女は目を伏せ
その瞳に憂いを纏った。
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柊(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)
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