魅 た ら 負 け【マフィア松】 7

ルビーは虚勢を張る ページ16

「で…でも！Aちゃんはそんな事っ…！」

「Aちゃんがそんな事するはずないとは思ってる。……思ってるけど、やっぱりちょっと怖くってさ。

その気持ちがあったからこそ、認めたくなかったんだろうね〜……Aちゃんにはいっぱい意地悪しちゃった」



「俺って悪いおにーちゃんだよね」と付け足して、おそ松は乾いた笑みを浮かべた。

十四松はそんな彼に同情して言葉を掛けようとするが
どう言えば少しは慰められるのか、気持ちを軽く出来るのか。
さっぱり思い浮かばなくって、彼は口元を長い裾で隠れた両の手で抑えた。


そんな十四松の気持ちを察したのか、おそ松は彼の頭をﾎﾟﾝﾎﾟﾝと撫でながら「そんな顔すんなよ」とへらりと笑った。



「もうあんな思い出、思い出してもなぁんも思わなくなっちゃったんだよね〜。
今思えばなんで俺、あんなブッサイクな子に惚れちゃったんだろって思ってるもん！」

「……」



半分冗談でそう言って、十四松を励まそうとしたが、十四松は口を閉ざしたまま、申し訳なさそうに視線を下げた。

いつものようでない十四松に若干調子を狂わされるも
おそ松はAの事をふと思い出して、表情を改めて十四松に告げた。



「って、こんな事してられない！
十四松、今すぐ皆の所に行くぞ！」

「…？どうして？」

「Aちゃんが逃げちゃったんだよ！カラ松騙してさァ！！」

「…………えっ？」



途端に十四松は�狄�じられない�瓩箸任盡世い燭欧北椶鯊腓�く見張り、口元を抑えたまま固まった。

終いにはおそ松が嘘を言っていると思っているのか、じーーっと訝しむようにおそ松を見遣り
おそ松は「本当だってば！」とやや慌てた様子で言った。



「あーーもう！！とにかく戻ろ？！
話は向かいながら話すから！！」

「えーー……」

「えーー……、って何？！なんで渋るの！？」



「いいから戻るぞ！」とおそ松は言い終わる前に走り出し、十四松は半信半疑になりながらもおそ松について行った。

だがその途中でふと十四松は『大丈夫かな、おそ松兄さん』と内心不安を抱えながらも、特に何も言わなかった。

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