【イナイレ】シッカーラプンツェル10【不動明王】

△狩人の疑問 ページ7

「そっ…それって、本当なんですか…？！」



思わず俺は身を乗り出してキャプテンに尋ねた。

途端に集まる皆の視線。
唐突に尋ねられ、キャプテンも驚いた顔をしていた。



聞いた事が無かった。
不動が病気の黒井を酷使していただなんて。

彼女は潜水艦の中でサッカーばかりさせられていた……とは聞いていたが……



「あ、あぁ……そうらしいぞ」

「病気を患っていた彼女にエイリア石を持たせ
その石のチカラで病気の進行を抑えていたらしい。

……だが、最終的にはそれでも抑え切れなかった上
外した時の反動が人より酷かったそうだ。
手術を受けた後も、完全回復するまではエイリア石は傍に置いていたらしい」

「え……エイリア石って……」



……聞いた事がある。
一時期その話題で持ち切りだったから。

確か凄いチカラを秘めた石だったが、その分色々とヤバいらしい。
普通の人間ですら使うのが危ぶまれるような石を
病気の黒井が使って平気なワケがない。


黒井の同意の上で不動は石を渡したんだろうか？
それとも、何も言わずに？反動の事とかも話さずに？

どちらにしろ、今の話で不動の印象は最悪だ。
元々良くは無かったが、今目の前にしたらうっかり足が出てしまいそうだ。



………それなのに。



『フドウは何にも…何にもしてないよ！
それだけは信じて…！』



ふと思い浮かんだ先程の黒井の姿。
ジャージを頭に被っていた彼女。

その下の顔は明らかに泣いた後の顔だった。
目も鼻も赤くなっていて。


一体、何があったんだろう。
不動が彼女を連れ出している時に、何が。


不動は彼女が自分を無理矢理付き合わせた、みたいな事を言っていたが……あの様子だと絶対違う。
不動が彼女を連れ回していたんだ。

何なんだ……この間は彼女の身体を気にしているような事を言っていたのに。
自分は彼女を何時間も連れ回して。


それに……どうして黒井も不動を庇うのだろう？
そもそも黒井はどうしてあんなヤツを慕う？
毎日ろくな目にあっていないのに。どうして。



どうして。

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