◇ラプンツェルとタイミング ページ3
「もー……フドウのせいで朝から散々な目にあった……」
ジャージの事はあんまり考えないようにして朝の支度を整え、私はジャージを持って洗濯機のある部屋に向かう。
とにかく誰かに見られる前に、さっさとジャージ洗ってフドウに返さなきゃ……
……いや!別に誰かに見られた所で私がジャージを抱っこして寝てた事は誰にも知られない……はず、だし。
だって心を読めない限りわからないもんね!
い、いつも通りにしてれば大丈夫だもん……多分。
それにしても……これ、フドウ着るのかな。
ううん、着るんだろうけれど…だろうけれど……
………わ、私が……抱き枕にした、このジャージを……またフドウが着ると思うと……は、恥ずかしい……
な、なんでそう思うんだろう……
わからない。わからないけれど、恥ずかしい。ドキドキしちゃう。
例え洗濯したとしても、やっぱり恥ずかしい。
これじゃあフドウがジャージ着る度に悶えちゃいそう。
……こっそり新品のヤツと入れ替えてもバレないかな。
「__何してんだ、ちんちくりん?」
「ヒャイッ!!」
もう少しで目的地に着く所だったのに。
もう少しでこのジャージとおさらば出来たのに。
直前で呼ばれたくない声で呼ばれ、私は思わず背筋を伸ばす。
ゆっくり、ゆっくり後ろを振り返ると
そこにいたのはやっぱりフドウ。
……………最悪のタイミング。
「ふ、ふ、フドウ…お、おはよ…!」
「…?」
咄嗟にジャージを背中に隠して私はフドウに挨拶してみる。
でもフドウの視線は完全に私の後ろに隠したジャージに向いてた。『何してんだコイツ?』って顔しながら。
寧ろ、そのまま口に出しそうだったから
その前に私は口を開いた。
「き、昨日はよく眠れた?疲れとか残ってない?」
「…おー…」
「ほ、ホントかな〜?だって昨日はいーっぱい!フドウに連れてって貰ったもん!無理とかはしちゃダメだから!ね?」
「……おー……」
とりあえず話をそらす為に、適当にそんな事を話してみる。
でもフドウったら酷いんだよ。「おー」しか言わないの。
普段は聞かれなくても変なあだ名で呼んだりバカにするのにさ。
話してる間、ゆっくりゆっくり後ろに下がって、ちょっとずつでも目的地に近付こうとしてみる。
だって本当にあとちょっとだから。
あの曲がり角を曲がったらすぐだもん。
いざとなったら、そのまま逃げる準備を……
「…大丈夫か?」
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*IJu*(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます…!励みになります…! (2021年10月15日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます!不動との進展に目が離せません! (2021年10月13日 1時) (レス) @page12 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます…!ノロノロ更新ですみません…orzでも楽しみにして頂いて嬉しいです!更新頑張りますー! (2021年10月2日 22時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます!! (2021年10月2日 0時) (レス) @page9 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - mikittyさん» ありがとうございます…! (2021年8月26日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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