△リボンが242こ▽ ページ49
だが彼女に声を掛けるとAはいつも通り「なぁに?」と首を傾げて真名部を見遣る。
その反応に内心胸を撫で下ろし、少し迷ったが先程のニュースについての話題を彼女に尋ねる事にした。
「え、っと……Aさんも、有名人になってしまいましたね」
「そうなの?私のお写真、映らなかったけれど」
「でもAさんの特徴を言っていましたから……
きっと今外に出たら…その、声掛けられたりするかもですね」
「そうなんだ!そうなったらどうしよ〜?
サインの練習とかした方がいいかな?」
ニュースの内容を知っているのか、それとも敢えてなのか。
Aは何処か嬉しそうに身体をくねらせ、シャーペン片手にそんな事を口にする。
そんな彼女に真名部は苦笑いを浮かべながら
「暫くは外に出れませんね」と肩をすくめる。
冗談っぽく言ってはみたが、実の所は結構な問題だ。
外に出れないとなると、買い物
つまり、食料の供給もままならない事になるのだから。
幸い、暫くの食べる分は前の買い物で買ったので持つが、それでもあと3〜4日程度。それ以降はまた買い足そうとしていたので全くのノープランだ。
ほとぼりが冷めるのを待っていたい所だが、果たしてソレはいつになるのか……
ソレによっては今後の食べる量を調節しなければならないなと、真名部は考える。
最悪、買い出しに行くとして
その時はAは連れて行かない方がいいだろう。
だって彼女はあまりにも目立ち過ぎる。
ただでさえ普段の言動のズレのせいで周りの視線が集まるのに。今回の件で更に注目を浴びてしまうだろう。
それだけは何としても避けたかった。
「お外に出れないのはつまんないけど〜……
まなべがいるから私はダイジョーブ!」
「で……でも、やる事も無いですし……退屈ですよ、きっと……」
「ううん!まなべがいるなら私は退屈じゃないよ!
だってまなべと一緒にいるだけでふわふわするもん!」
「そっ……そう、ですか……」
相変わらずふわふわとした内容に真名部は困惑しつつも、彼女の言葉に頬を染め、そっと彼女から目をそらす。
きっとこのやり取りも、見つかってしまったらもう2度と出来ないだろう。
そう考えたら途端に不安になって、真名部は再び彼女の方を向くと、机の上にある彼女の手を握る。
Aはそんな真名部の手を拒む事はなく
優しく握り返し、無邪気な微笑みを浮かべた。
「………っしゅん!」
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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