△リボンが232こ▽ ページ39
『真名部、』
ふと、後ろから声がした。
大好きな、女の子の声だ。
真名部は思わず立ち止まり、振り返る。
するとそこには声の主であるAが、いつもとは違う笑みを浮かべて立っていた。
『A…さん?』
『…』
呼び慣れない彼女の名前を呼ぶと、Aはただ微笑んだ。
先程の皆帆と違い、自分の呼び掛けに反応したAに真名部は酷く安心し、自然と身体は彼女の方へと向かって行った。
そこまで距離も離れておらず、しかも距離が正しく縮み、すぐ彼女の元に辿り着くと真名部は安堵の溜息を吐いた。
『Aさん…!ああ、良かった…アナタがいてくれて…!』
『…』
『さっき、皆帆くんがいたので声を掛けたんですけれど……彼ったら酷いんですよ。全く気付いてくれないんです……しかも、どんなに走っても全く距離が縮まらなくて…』
『…』
安心したからか、真名部は愚痴っぽく先程の皆帆の話を彼女に話してやるが、いつものように相槌を打ってくれない彼女に真名部は違和感を覚えた。
顔を上げて彼女を見遣る。
そうして真名部は大きく目を見開いた。
『…あ…ァ…ぁ…』
…彼女は相槌を打たなかったんじゃない。
その証拠に彼女の首には包帯のような、リボンのようなモノが巻き付き、彼女の首を締め上げていたのだから。
『っ…!?Aさん!?Aさんっ!!』
ギリギリと彼女の首を締めるモノ。
まるで蛇のように巻き付いていた。
Aはその輪を何とか広げて少しでも気道を確保しようとするとが、びくともしない。
彼女は目を大きく広げて、口をぱくぱくと金魚のように開閉しながら、それでも何とか酸素を体に取り込んでいた。
真名部は気付いてすぐ彼女の首に巻き付くソレを引っ張って、彼女を助けようとした。
しかし、寧ろ彼女の首を締めるだけで、Aは苦しそうな呻き声をあげる。
気付いて真名部は手を離して、今度は輪の中に指を入れた。
そうして無理矢理手をねじ込んで、内側からソレを広げようとしたが、非力な真名部には無理な話だ。
それでも真名部は何とか彼女を助けようと。
半ば泣きそうになりながらも、自分の出せる最大の力を使って、何とかソレの感覚を広げようと努力した。
しかし一向に広がらない輪の感覚は次第に真名部の巻き込まれた手をも締め上げ
気付いたら、真名部がAの首を締める形になっていた。
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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