リ ボ ン の 檻 6 【真名部陣一郎】

△リボンが257こ▽ ページ15

ショッピングモール方面の道は幸い覚えていた真名部は、以前彼女と行った道をそのまま通って向かった。

自分の正体を悟られないよう、精一杯自然体を装いながら。

そのおかげか、周りの人間は真名部を気にする事はなく、真名部は内心胸を撫で下ろす。


最近、ニュースで何度か自分の関わっている事件について報道され、その度に情報がセットで流されるが
案外周りは気付かないようだった。

単純にこんな所に真名部が1人で出歩いていると思っていないのか、それとも事件自体に関心がないのか……


正体が知られなければ正直どちらでも良かったが
後者だとしたら、と思うと世間の冷たさを感じる。

しかし、ソレは自分も例外ではないワケで。


仮に今この場所に逃亡中の殺人犯がいたとして
真名部は気付かないだろうと思う。
いちいち手配書の顔なんて覚えられないし、真名部には覚える暇もないから。

覚えていたとしても、人の顔をジロジロ見るなんて事はしないから、やはり気付かないだろうと思う。
コレが皆帆だったとしたら違うだろうけれど。



「(……変に正義感がある人が周りにいないでくれるとありがたいのですが)」



そんな事を考えている間に、ショッピングモール手前のコンビニに辿り着いた。

真名部は帽子の鍔を持ち、真名部は深く被り直す。
そうしてコンビニに足を踏み入れると、真名部は目的の物である牛乳とチョコレートを探した。



「(牛乳は……ありました。
チョコレートも……3枚程買いましょう。
ついでに食べ物も幾つかと……
風邪薬に……ああ、冷却シートも欲しいですね。
のど飴も買って行きましょう。何味が好きでしょうか……)」



カゴを持って店内を回りっていると、欲しい物が次々に浮かぶ。

しかし此処で迷っている暇などない。
家でAを1人で待たせているのだ。
手短に、現状必要最低限の物だけをカゴに詰めて真名部はさっさとレジの前に立った。

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