△リボンが347こ▽ ページ7
「こ……これが1番可愛いと思います」
「……コレ？まなべ、コレがいいの？」
「はい……これが、いいと思います」
「……」
……流石に露骨過ぎただろうか。
内心焦りが悟られていないか、真名部は恐る恐る彼女を見遣る。
Aは暫くきょとんとした顔で真名部の差し出した帽子を見つめていたが、やがていつも通りの笑顔を浮かべると「わかった！」と真名部に差し出された帽子を受け取った。
「……似合う？」
「…ええ、可愛いです」
「ふふ、『似合う』って聞いてるのに『可愛い』だって。んふふっ」
「うっ……」
帽子を被り、案の定感想を求めるので
素直な感想を述べたが、素直過ぎたようだ。
Aに指摘されて初めて気付き、真名部は顔を赤く染める。対してAは嬉しそうに笑うので、真名部は何も言えずにいたが、ふと我に返ると「では行きましょう」とAに手を差し出した。
「もう行くの？」
「はい、行きますよ」
「……」
「…？どうしました？」
「ううん…何でも」
いつもならすぐに手を取ってくれるのに。
この時の彼女は何故かそうはせず、おもむろにキョロキョロと部屋を見渡す。
真名部が尋ねても彼女は濁すだけで答えてくれない。
真名部は首を傾げると、Aはようやく真名部の手を取った。
「……行こっか、まなべ！」
「……はい、行きましょう」
真名部の手を握り、答えると、Aはにこりと微笑んだ。いつもは無邪気な笑顔で言ってくれるのに、この時は何故かやけに落ち着いていた。
疑問には思ったが、それ以上に早くこの家に出なくてはと使命感に駆られていた真名部は、特に気にする事はなく、そのまま彼女の手を引いて部屋を出た。
階段の前を通り掛かった時、Aが階段を見上げるように視線を向けた。
でも何をするわけでもなく、2人は玄関から外に出た。
外は暗い闇が辺りを覆っていた。
いつも出掛けていた時は明るい時間帯だったので、真名部は新鮮さを感じると共に不気味にも思えた。
その闇の中に自分達を狙う不届き者がいると思うと、足が竦む。でももう決めた事だ。後戻りは出来ない。
真名部はしっかり家を鍵を閉め、深呼吸をすると
物珍しそうに辺りを見渡すAに声を掛ける。
そうしてようやく、真名部は彼女をあの家から連れ出す事が出来たのだった。
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＊IJu＊(プロフ) - キジバトさん» 初めまして！コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー！作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…！更新頑張ります！ (2021年12月24日 0時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして！この作品めちゃめちゃ大好きです！文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです！クライマックスなのはちょっと寂しいですが，そのまま最後まで頑張ってください…！応援してます！ (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)
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