△リボンが352こ▽ ページ12
「いんや……なァんかお嬢ちゃんのお連れさん、見た事ある顔だなァ……って」
「……」
「気のせいじゃない？私達、おじさんには初めて会ったよ？」
「おー、そうなんだがなァ……何処だっけなァ……？
なーーんか見覚えがあるような…ないような…」
男は真名部の方をじっと見つめながら、首を左右に振り考える。Aはこてんと首を傾げて初対面だと伝えても、男は以前と変わらず思い出そうとしていた。
真名部は内心、怯えていた。
Aと繋がれた手が微かに震える。
自分の姿に見覚えがあるのは十中八九、テレビの報道で自分の姿を見たからだろう。
報道される度に顔写真と共に情報がセットでお茶の間に流されていたんだ。興味はなくとも、その顔を何となく覚えていても可笑しくはない。
ふと、真名部は恐る恐るAを見遣る。
思い出そうと腕を組んで考える男を彼女はじっと見つめていた。
その目は完全に据わっていて、視線の先に自分がいるわけでもないのに真名部は思わず肩を震わせた。
彼女もわかっているんだ。
自分達の正体が知られてはいけないと。
それなのに今、目の前の男が真名部の正体を思い出そうとしている。
怖かった。人を殺した直後のあの顔ほどではないが、怖かった。
このままでは彼女の手が背中に隠している凶器に伸びていきそうで。目の前でまた人を殺してしまいそうで。
真名部は慌ててAと繋いだ手をｸﾞｲｯと引っ張った。
「Aさん、Aさん…！は、早く行かないと…！
で……電車の時間に間に合わなくなります！」
「…………へっ？」
普段はやらない行動と真名部の話にAは間の抜けた声をあげながら真名部を見遣る。
その時にはもういつもの彼女だった。
未だ賑やかな商店街内では少々聞き取りづらい声だったのだが、男の方にも聞こえたようで「んぁ、そうなのか？」と腕を組んだまま自分達を見遣った。
「は…はい」
「そっかそっかァ、なら引き留めて悪かったな。
じゃ！夜道に気を付けろよ！」
真名部が小さく頷くと、男はあっさりと2人を開放してくれたので、真名部はﾎｯと息を吐く。
軽く手を振る男にAも「ばいばーい！」と手を振って、焼き鳥屋を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - キジバトさん» 初めまして！コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー！作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…！更新頑張ります！ (2021年12月24日 0時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして！この作品めちゃめちゃ大好きです！文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです！クライマックスなのはちょっと寂しいですが，そのまま最後まで頑張ってください…！応援してます！ (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
