【イナイレ】シッカーラプンツェル8【不動明王】 (ページ8)

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◇ラプンツェルと昔話ページ8

「……黒井は、」

「…うん？」

「……黒井は、サッカー……上手いんだな」

何を話し出すのかと思ったら…突然褒められちゃった。

褒められたらやっぱり嬉しいものだよね。
私は思わず「そう？」ってなんでもないふりをしながらも、内心喜んでいたり。

「前にDFもやってたって言ってたし……
チームとか、入ってたのか？」

「……」

でもその後の言葉はちょっと答えづらいものだった。

だって私がいたチームって言ったら……アレだもん。
真・帝国学園。

嫌でもあの試合の日の事が思い起こされる。

フドウとの事も、思い出しちゃう。

「……うん、そうだよ。
とは言っても、ちょっと特殊というか……普通じゃないと言うか……」

「普通…じゃない？」

「えーと……その、私のいたチームってね、普段は潜水艦で過ごしてたんだ」

「せん……すい……かん？」

「そう、潜水艦。海の中に潜る船だよ！
中はとっても狭かったけれど、サッカーグラウンドはちゃんと用意されてて、いつもそこで練習してたの」

「せ、潜水艦に、サッカーグラウンド……？」

なるべくあの日の事は話したくないから、真・帝国学園の事を話そうとしたら、トビタカは案の定目を白黒させて私を見遣る。

そりゃあ、そうだよね。
まず普通の人は潜水艦に乗る機会なんてほとんどないだろうし。
あったとしても中にグラウンドがあるとは思わないだろうし。

まずはそこについてトビタカに更に話すと、トビタカは終始驚いた顔をして聞いていた。

潜水艦内にベットしかない部屋があって、いつもそこで過ごしてた事。

シャワー室はいつも並んでて、ゆっくり入れなかった事。

そこで知り合った皆とは今でも時々連絡を取っている事。

サクマとゲンダの事に、そこでサッカーしてる時の事……

話している内に思い出して。楽しくなって。
次から次へと潜水艦内での話が出て来て、夢中で話してた。

試合の日は辛かった。怖かった。
でもあの潜水艦での生活はそれなりに楽しかったの。

ご飯は美味しかったし、タカナシも優しくしてくれたし。
サッカーが上達していくのを感じた時は嬉しかったし。………まぁ、最初だけだけど。

何より、病気に縛られず、何者にも叱られず
ある程度自由に出来たのが良かったんだよね。

病院じゃ私が何かすると看護師さんがすぐ来て止められちゃってたから。

何するのにも許可を貰わなきゃ出来なかったから。