【イナイレ】シッカーラプンツェル8【不動明王】 (ページ6)

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◇ラプンツェルを信じてページ6

「えっ……」

何も無い空間を蹴り続けていたトビタカは、私の言葉に1度蹴るのを止めて驚いた顔をした。

私は持っていたボールをまた差し出すと、言葉を続けた。

「ボールに慣れたいんなら、やっぱりボールに触らなくっちゃ！
ここならパス練習するのに十分な広さだし……ボール飛ばさないようにすればヒビキさんも怒らないよね？」

「えっと……それは、やめた方がいい」

「どうして？」

「……俺が、下手だから。
絶対どっかに飛ばすと思う」

トビタカは私からやや目を逸らし、自信なさそうにそう告げる。

でも私は「大丈夫！」と微笑むと
持っていたボールを頭の上に掲げながら続けた。

「前も言ったけど私、これでもサッカー上手なんだよ？エンドウ達と試合するぐらい！
だからボールは飛んでったりしないよ！」

「いや……俺が飛ばすんだ。
俺、まだボールの扱いが慣れてないから……」

「だから、ボールは飛んでったりしないよ！
だって飛ぶ前に取ればいいんだもん(・・・・・・・・・・・・・)！」

「………は？」

私が説明してもイマイチ伝わってない感じ。
トビタカは訝しげな顔をして私を見遣る。

その顔がちょっと面白くて思わず笑っちゃうと
私は持っていたボールを放って、片足に乗せた。

「ボールが飛んで行きそうになっても、私が絶対受け止める！どっか行っちゃう前に取れば、飛んでった事にはならないでしょ？

ほら！こんなに私は上手だもん！
だから私を信じて、トビタカ！」

足に乗せたボールを軽く蹴って何度かその場でリフティングした後、胸でトラップを挟んで肩に乗せて滑らせるようにトビタカへボールを渡す。

別にそこまで上手ではない。
確かにコントロールはある程度出来るけど、でもフドウみたいに絶対じゃない。

だけと、こうでも言わないと多分トビタカはやってくれないと思ったから。

トビタカは私からのボールを咄嗟に両手で受け止めて、呆然と私を見遣る。
そんなトビタカに私は微笑むと、トビタカは頬をほんのり染めてから、意を決したようにボールを持つ手に力を込めた。

「……わかった。やってみる」

「うんうん！とりあえず、まずは難しい事を考えないでね！どんなボールもちゃんと私が取ってみせるから！」

「と……飛ばしたら……ごめんな」

「だから飛ばないってばー！」

こうしてトビタカとのパス練習が始まった。