◇ラプンツェルと空き地 ページ5
「わ……悪いな、付き合わせちまって」
裏口から外に出ると本当に目の前に空き地があった。
なのでボールを持ってそこに行くと、トビタカは申し訳なさそうに視線を地面に落としながらそう言った。
「何言ってるの！こういう時こそマネージャーである私の出番だよ！とゆーか！どうして今まで黙ってたの？」
「黙ってたつもりはなかったんだ。
ただ、何となく……言うのが恥ずかしくて」
「なんで恥ずかしいの？
自主練習は全く恥ずかしくないよ！
それにもっと早く言ってくれれば、もっと早く手伝ってたのに！」
「………ごめん」
責めるつもりはなかったけれど、謝られちゃったらなんだかこっちが悪い事をした気分。
しょんぼりしちゃったトビタカの気分を変える為
私は話を切り替えると、持っていたボールを差し出して「じゃあ！」と続けた。
「まずは何する？どんな特訓がいい？」
「えっ……と、」
「やっぱり体力？それとも瞬発力？
キック力……は、DFだからあんまり、かな……
でもでもDFでもシュートする時って無くはないし、他にも生かす場面も……うーん……」
「……その、普通の練習で……」
早速どんな練習をしようかなって考えるけれど
考え過ぎてそんな風に言われてしまった。
練習の内容はトビタカに完全に任せようと思って、持っていたボールを下ろすと、トビタカはおもむろに地面にサッカーボールぐらいの大きさの円を足で描いて、その前に立った。
……この練習方法、前も見たような。
「コレ……前もやってたやつ？」
「あ、ああ……まだ俺、ボールにまともに触れられないから……」
トビタカはそのまま、ボールも置かずにその円に向かって何度も足を振り始める。
確かにトビタカは全然ボールに触れてないけれど……
でも折角ボールがあるのに、使わないなんて勿体無い。
かと言ってこの練習にボールを使うと絶対どっかに飛ばしちゃうよね。
トビタカはまだボールのコントロールも出来なければ、蹴る時の加減も曖昧だもんね。
でもまずは蹴る感覚を覚えた方がいいと思うんだ。
その為にはボールに実際に触らなくちゃ。
その内に加減とかも身体が覚えてくると思うから。
「……ねぇ、トビタカ！パス練習しよ！」
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