◇ラプンツェルとコーナーキック ページ20
オオカミの遠吠えがフィールドに轟いた。
鋭い蹴りをボールにぶち込むと、ボールは強烈なシュートとなりゴールへと向かう。
そんな強烈なシュートに向かって行く1人の敵選手。
デザートライオンのキャプテンさんだ。
必殺技で対抗するのかと思いきや、己の身1つで立ちはだかった。
ボールは彼の鳩尾にぶつかり、私は思わず両手で目元を覆う。
て、敵とは言え、やっぱりこういう…身を犠牲にするようなやり方は見ていられない……
それに私も似たような感じでお腹をボールで潰された事あるから、共感もしちゃうのかも。
そのキャプテンさんはブロックに失敗して吹っ飛ばされちゃったみたい。
でもおかげでシュートの威力が落ちて、キーパーの元へ届く頃にはパンチで防げる程度になっていた。
「いいぞ、吹雪！その調子だ！」
「うん！」
フブキはシュートが決まらなくて悔しそうな顔をしていたけれど、エンドウの一言ですぐに切り替わった。
やっぱりエンドウはすごいや……
それにしても、ここまではイナズマジャパンのペースだ。
だからと言って油断は禁物だけれど
このまま攻め続ければ、先制点はイナズマジャパン……かも。
幸いにも相手ゴール目の前でのコーナーキック。
シュートのチャンスはある。
ボールを蹴るのはカゼマル。
カゼマルはボールを置いて深呼吸をすると、ﾄﾝﾄﾝｯとその場で2回軽く跳ねて力を抜いた。
相手は更に警戒心を強め、守りを固める。
カゼマルは少しボールから離れて助走を付けると
次の瞬間、地面を蹴った。
「コレが俺の�狄敬�殺技�瓩澄�」
「…！？」
カゼマルが遂にボールを蹴り出した。
でもそのボールの軌道はイナズマジャパンの誰の元にも向かっておらず、軌道はゴールから大きく逸れていた。
しかも、あんなに高く上げちゃって……
カゼマルのミスキックかと実況の人も騒ぐ中
不意にそのボールの軌道が、変わった。
さっきまでゴールの真反対を行っていたはずなのに。
急にUターンして、ゴールの方へと向かった。
まさかのボールの動きに相手も一瞬反応が遅れてしまい、しかもゴールの角っ子に叩き込んだ。
得点、1-0
ほ、本当に先制点を取っちゃうなんて……！！
◇ラプンツェルとバナナシュート→←◇ラプンツェルとカタール戦
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