◇ラプンツェルは入れてあげたい ページ11
「で、でも…！前にも言ったけれど、悪いのは私の方だから……！それだけは誤解しないで欲しいの！」
変な所で話を切ったから、トビタカにフドウが悪者だって思われていないか不安で。
一応、私はそう言葉を付け足す。
悪いのは全部私の方。
私がフドウの指示に従わないで、エイリア石を2つ持ったりしたのが始まり。
その後も私はフドウに酷い事をしようとした。
フドウに悪い所を全部擦り付けて、フドウの目の前で冷たい海に身を投げた。
そうやってフドウが少しでも困ればいいと思ったから。
優しいフドウは少しでも後悔してくれると思ったから。
……そんな事しても、何にも解決しないのにね。
「ふ、フドウはね、皆に意地悪ばっかりするけれど…本当は優しいの。ただ、素直になれないだけで……多分。
だ、だから……」
「…わかった。黒井がそう言うなら、信じる」
「ほ……ほんと？」
「ああ。ホントだ」
フドウが本当は優しい人だって。
意地悪ばっかりする人じゃないって。
一生懸命トビタカに伝えたら、トビタカはそう言って笑ってくれた。
その言葉を貰えるだけで嬉しかった。
フドウを信じてくれるって人がいるだけで。
だって今のフドウはあまりにも敵を作り過ぎている。
完全にチームから孤立してるもん。
あんなんじゃ試合での連携にも影響するだろうし
何より1人は寂しいから。
フドウにとっては余計なお世話かもしれない。
寧ろ1人になりたいからこそ、そんな態度を取っているのかもしれない。
でも、やっぱり私は放っておけないの。
フドウに寂しい思いをしてほしくないの。
フドウが私を見つけて、賑やかな所に連れ出してくれたように。
私もフドウを引っ張って、皆の仲間に入れてあげたい。
だって、フドウは……
「……ありがとう、トビタカ」
トビタカの言葉を聞いたら安心して、私は思わず頬を綻ばせる。
トビタカはそっと私から目をそらすと「…おう」って小さな声で返事を返す。
そうして、またポケットからクシを取り出して、髪の毛を梳かし始めた。
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