△リボンが44こ▽ ページ47
毛布を頭に被ってから、真名部は違和感に気付く。
明け方、自分は確かに彼女に毛布を掛けてあげたはずなのに…何故かその毛布は自分に掛かっていた。
思わず不思議に思って真名部は毛布から顔を出す。
するといつの間にか彼女の笑い声は止まり
代わりに柔らかい微笑みを浮かべて真名部を見つめていた。
「(わ、わっ…)」
いつもは子供っぽい、無邪気な笑顔を浮かべているのに。
不意に年相応の微笑みを浮かべられて、真名部は思わず見惚れてしまう。
毛布を被る前とは打って変わった態度でAは微笑みを浮かべたまま、やけに落ち着いた口調で続けた。
「…毛布、ありがとうね。とてもあったかかったよ」
「あっ…あ、いえ……別に……」
「まなべは優しいんだね。私に毛布掛けてくれるんだもん」
「えへへ」と嬉しそうに笑うAだったが
対して真名部はその発言に複雑な表情を浮かべる。
やはり彼女の母親はまともな母親ではなさそうだ。
口振りから察するに、彼女は母親に毛布を掛けられた事すらないらしい。
こうなって来ると彼女を敵として見る方が可笑しく感じる。
寧ろ彼女も被害者だ。
彼女もまたこの家から出られない、自分と同じ哀れな被害者。
そうやって見ると彼女の所々が痛々しく
それでいて可哀想で。
真名部は少し考えて、おもむろに彼女の方に手を伸ばしながら、小さく口を開いた。
「……別に、毛布くらい幾らでも掛けてあげますよ」
そう言いながら真名部は伸ばした手を、彼女の右頬に置いた。
そこには大きなガーゼが貼られており、慣れない手つきでその頬を撫でると、Aは擽ったそうに首を窄めて笑う。
ガーゼ越しでもわかる、体温。
それはとても心地よく、真名部は思わず頬を綻ばせる。
そのまま暫く真名部は彼女の頬をぎこちなくも撫でていたのだが、不意に至近距離からじーっと見られている事に気付き、慌てて真名部は手を引っ込めた。
「わっ……そ、そのっ…すみません!
き、急に触れてしまって……」
自分で自分が何をしているのか、わからなかった。
真名部は毛布に半分顔を埋めて、煙が出そうな程顔を真っ赤に染めた。
対してAはキョトンとした顔をした後にまたクスクスと子供のように笑う。
真名部はその心地よい笑い声を聞いて、微かに目を細めた。
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Rai - *IJu*さん» イベント参加ありがとうございます〜! 実は私もその作品「 箱庭少女の孤高哀歌」も読んでました正に好きで、これからの作品ともに頑張って下さい! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» ありがとうございます〜!では参加させて頂きますね〜! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - *IJu*さん» その他大丈夫です!後そのまま画面、ペースト、通常検索など出て来ると思います! (2020年8月25日 17時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» ですが、Raiさんがもしよろしければ、他にもイナGOの作品を書いているので、そちらの方でイベントに参加させて頂いても宜しいでしょうか? (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» 初めまして、コメントありがとうございます!折角のお誘い感謝致しますが、この小説は内容があまり明るくない上に人を選ぶ作品だと思っておりますので、この作品での参加はお断りさせて頂きます…… (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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