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△リボンが33こ▽ ページ36

「うわぁぁあああ!?」



突然、真名部は叫び声と共に飛び起きると、肩で息をして呼吸を整える。

その額からは汗が滲み、手足がブルブルと震えている。

こんな目覚めは初めてだ。
何か嫌な、嫌な夢を見た気がする。


でも頭に霧でも掛かったかのように思い出す事は出来ず
真名部はただ深呼吸を繰り返した。



「………大丈夫?」

「うわぁっ!?」



不意に、視界の中に少女の顔が写った。
目の悪い真名部がまだメガネを掛けていないにも関わらず、ハッキリと。

しかも鼻先に何かが一瞬ぶつかった。
ソレが彼女の鼻だという事にすぐ気付いた真名部は
慌てて後ろに後退り、手探りでメガネを探した。



「な、ななな、なっ…お、脅かさないで下さいっ…!
し、心臓が飛び出るかと思いましたよ……」

「ご、ごめんね、まなべ…」



ようやくメガネを見つけ出し、真名部はソレを掛けると
Aは眉を下げて、しょんぼりと肩を落とした。


そうこうしている内に真名部の呼吸は大分落ち着き
真名部は最後に溜息を1つ吐くと、彼女に向き直る。


その際にズキリと後頭部が痛んだ。

痛みは結構なものだったが、一瞬だったので真名部は顔を顰めただけだ。

朝から叫び声を上げたからだろうか…
真名部はまた溜息を吐いた。



「でもまなべが急に叫んで飛び起きるから…私もビックリしたんだよ?『うわぁ!』って!」

「そ、それは……謝ります。すみません…
随分な夢を見ていたようで……」

「……怖い夢でも見たの、まなべ?」

「えぇ…もう思い出せませんが。
ここまでのは初めてです…怖い夢なんて、もう随分と見ていませんでしたし……」

「そうなんだぁ……」



自分でも話していて少し気恥ずかしくて、真名部は彼女ら目をそらす。

こんな歳にもなって怖い夢を見ただけで飛び起きるなんて、みっともない。
しかも女の子にそんなみっともない姿を見られしまって、更に惨めに感じた。


対してAは同調するような、そうでもないような返事を返して、視線を落とす。


一瞬、彼女は安心したように笑った気がしたが、気のせいだろう。
すぐにAは顔を上げて、いつも通りの無邪気な笑みを浮かべた。

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Rai - *IJu*さん» イベント参加ありがとうございます〜! 実は私もその作品「 箱庭少女の孤高哀歌」も読んでました正に好きで、これからの作品ともに頑張って下さい! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» ありがとうございます〜!では参加させて頂きますね〜! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - *IJu*さん» その他大丈夫です!後そのまま画面、ペースト、通常検索など出て来ると思います! (2020年8月25日 17時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» ですが、Raiさんがもしよろしければ、他にもイナGOの作品を書いているので、そちらの方でイベントに参加させて頂いても宜しいでしょうか? (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» 初めまして、コメントありがとうございます!折角のお誘い感謝致しますが、この小説は内容があまり明るくない上に人を選ぶ作品だと思っておりますので、この作品での参加はお断りさせて頂きます…… (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月12日 14時

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