△リボンが32こ▽ ページ35
「えっ………」
真名部は一瞬涙を流すのを忘れてしまった。
今度は真名部が目を見開いて、彼女を見つめる。
彼女の頬に伝う涙。
ソレは確かに彼女の濁った瞳から流れていた。
つーっと頬を伝う涙は自分と同じく無色透明で
Aは悲しそうな顔をしながら、言葉を続けた。
「ごめんね……まなべに怖い思いさせて。
不安なんだよね…ごめんね……ごめんね……」
Aはひたすらに真名部に謝りながら、彼の頬に持って行った両手で真名部の頬を撫でる。
真名部の涙よりあたたかい手。
動く度に最初はﾋﾞｸﾘと肩を震わせていたが
次第に真名部はその手に安心を覚えた。
そう思う自分に戸惑いながらも、真名部は震える声を絞り出す。
「そ……そう言うなら、僕を帰して下さいよぉ…！」
「ごめんなさい……それは出来ないの。
そんな事したら、私……」
「そもそもアナタ、自分のやってる事を理解しているんですか…？コレは立派な誘拐…つまり犯罪なんですよ！」
「あ……その、でも……私、私はただ……」
「どうして僕だったんですか…？
どうして僕を此処に連れて来たんですか…？
僕はただいつも通りに帰っていただけなのに……
どうして……どうして………」
「……………………」
真名部の言葉は無意識の内にAを責め立てる。
酷く弱った様子の真名部を見て、Aも視線を落として項垂れた。
悪い夢なら覚めて欲しかった。
日常に戻して欲しかった。
こんなワケがわからない所にワケがわからないまま連れて来られて。
ワケがわからないまま殺されるのは嫌だった。
ああ、こうなるんだったら…と、今更後悔が押し寄せる。
ソレが涙となって真名部の頬を濡らす。
その頬にはもうAの手は添えられておらず、いつの間にか下りていた。
そんな事にも気付かないままに、真名部はただ泣いた。
嗚咽と鼻を啜る音だけが響く室内で、Aはおもむろに口を開いた。
「………本当に、ごめんね真名部」
「だから……ｸﾞｽﾞｯ、謝るなら僕を帰して、って……」
「上手くいかなかったら、ごめんね」
なんの事だと真名部はまた顔を上げた。
上げてしまった。
途端に見開かれる真名部の瞳。
目の前には、何かを振りかぶってこちらを見下ろすA。
その目は酷く冷たくて、その顔に表情は無い。
咄嗟の事に体が反応出来なかった真名部は
ただただ目の前で振り下ろされるモノを見る事しか出来なかった。
「＿＿＿おやすみなさい」
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Rai - ＊IJu＊さん» イベント参加ありがとうございます〜! 実は私もその作品「 箱庭少女の孤高哀歌」も読んでました正に好きで、これからの作品ともに頑張って下さい！ (2020年8月25日 18時) (
レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» ありがとうございます〜！では参加させて頂きますね〜！ (2020年8月25日 18時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - ＊IJu＊さん» その他大丈夫です！後そのまま画面、ペースト、通常検索など出て来ると思います！ (2020年8月25日 17時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» ですが、Raiさんがもしよろしければ、他にもイナGOの作品を書いているので、そちらの方でイベントに参加させて頂いても宜しいでしょうか？ (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» 初めまして、コメントありがとうございます！折角のお誘い感謝致しますが、この小説は内容があまり明るくない上に人を選ぶ作品だと思っておりますので、この作品での参加はお断りさせて頂きます…… (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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