△リボンが27こ▽ ページ30
「ありがとう、ございます……」
受け取ろうか少し迷ったが、真名部はそっと彼女から受け取って、じっと食パンを見遣る。
母親用のだからか、カビている様子もなく
久々に感じるパンの甘い匂いが食欲を唆る。
ｸｩ、と小さく真名部のお腹が鳴いて咄嗟に真名部はお腹を押さえるが、Aに聞こえてしまっていたようで「お腹空いてたんだね」と微笑まれてしまった。
ソレが恥ずかしくて真名部は視線を落とすと
誤魔化すように彼女に尋ねた。
「あっ…アナタは、食べないんですか？」
「私？うん、大丈夫〜！だってまだお腹空いてないもん！」
ふと、そのまま封をして冷蔵庫に戻そうとするので真名部は思わず尋ねると、彼女はﾆｺﾘと笑ってそう言ってのけた。
直後に彼女のお腹からも、真名部より大きな腹の虫の音が聞こえて、彼女は視線を自分のお腹に落とすと片手で自分のお腹を押さえた。
それもそうだろう。真名部が彼女に会ってから、彼女が食べ物を口にしている所を見ていないのだから。
真名部が寝ている内に食べていたとしても、大した物は食べていないだろう。
何せ彼女の母親はまともな物を彼女には提供しないし
彼女も彼女で母親の命令を律儀に守っているのだから。
真名部はおもむろに自分の持っていた食パンを丁寧に半分に千切ると、さっきの彼女のように苦笑いするAに差し出した。
Aはﾊﾟﾁﾊﾟﾁと瞬きをした後に首を横に振ったが
それでも真名部が彼女に差し出すと、彼女のお腹がまた小さく鳴いた。
「お腹、空いているんでしょう？
ちゃんと食べないとダメですよ」
「で、でも…まなべの分が無くなっちゃう…」
「僕はいいんですよ。元々あんまり食べませんし。
半分で十分です」
「ほ…ホント？」
狼狽える彼女は遂に真名部から差し出された食パンを受け取ると、嬉しそうに笑って「ありがとう」と小さく呟いた。
御礼を言われて満更でもなさそうに真名部も微笑む。
食パンを貰ったAは真名部が口を付けるよりも前に「いただきます」と食べ始めた。
美味しそうに食する彼女に真名部も「いただきます」と噛み付いた。
バターもマーガリンもジャムも
何も付いていないパンは素朴な味で、子供舌な真名部には少し味気が無かった。
でも久々に人と一緒に朝食を食べたからか
いつも食べている甘いパンよりも、美味しく感じた。
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Rai - ＊IJu＊さん» イベント参加ありがとうございます〜! 実は私もその作品「 箱庭少女の孤高哀歌」も読んでました正に好きで、これからの作品ともに頑張って下さい！ (2020年8月25日 18時) (
レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» ありがとうございます〜！では参加させて頂きますね〜！ (2020年8月25日 18時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - ＊IJu＊さん» その他大丈夫です！後そのまま画面、ペースト、通常検索など出て来ると思います！ (2020年8月25日 17時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» ですが、Raiさんがもしよろしければ、他にもイナGOの作品を書いているので、そちらの方でイベントに参加させて頂いても宜しいでしょうか？ (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» 初めまして、コメントありがとうございます！折角のお誘い感謝致しますが、この小説は内容があまり明るくない上に人を選ぶ作品だと思っておりますので、この作品での参加はお断りさせて頂きます…… (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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